HR豆知識⑲The Science of Happiness(How to be happier at work)
今回はロンドンビジネススクールの記事で「どのようにしたら職場で幸せになれるか?」をご紹介したいと思います。
1.幸福感と仕事のパフォーマンスは紐づいている
充実感を感じている社員は、仕事上でも高いパフォーマンスを上げている事が幅広く認知されていると思います。一方で、この幸福という概念や幸せという言葉は様々な使われ方が日常的に存在するため、混乱することも多くあります。
まず、UC Berkeleyの研究機関であるGreater Good Science Centerで紹介されている、言葉の定義を簡単にご紹介します。
Well-being(状態):" Overall my life is going well " (全体的に私の人生は順調です)
Traits(特性):" I am an enthusiastic person" (私は情熱的な社員です)
Emotions(感情):" I fell reverence and gratitude" (畏敬の念と感謝の気持ちを感じました)
Sensations(感覚):"This sun feels good on my skin" (太陽の光が肌に心地よい)
従って、Well-being(専門的にはSubjective Well-being)というのはあくまでも状態であり、Happyという言葉は感情として認知しておくことが”幸せ”という言葉を理解する上で大事なポイントだという事です。
2.幸福と不幸は独立しない。
職場では、一人ひとりを幸せにするものが異なります。あなたは仕事で平和で落ち着いていて、安定性と安全性を持ちたいですか?それとも、あなたは目新しさと絶え間ない好奇心を必要とする人ですか?あなたは自分が良いと感じ、認識できる何かを持っている必要がありますか?
幸福は、これらの動機を特定するだけではありません。これらはさまざまな時期に変化する可能性があるからです。それで、「私を幸せにするものは何ですか?」「いつ私は幸せですか?」があります。答える質問。「いつ」は、人々の生活の中で他に何が起こっているかに影響されます。彼らは仕事では本当に幸せかもしれませんが、家ではそうではありません。全体として、それは私たちが幸せなときに定義する否定的な感情を肯定的な経験が上回るかどうかです。
「〇〇をしている時が幸せ」
という言葉は多くのケースで目にする言葉だと思いますが、これはあくまでも感情に対するアプローチであると言えます。一方で、本当の意味での幸福は、全体として、それは私たちが幸せなときに定義する否定的な感情を肯定的な経験が上回るかどうかが大事なポイントです。
従って、今私は幸せで、今は不幸せ。というものは常につながっています。それぞれは独立せず、「Well-being(幸福感)」という状態におけるプロセスの一つなのです。不幸せを経験したからこそ幸せを経験することが出来るのです。
3.幸福は、自分が大事にしているものに向かっている、または達成することによってもたらされる。
研究によると、幸福は通常、意味のある目標に向かって進歩している、または達成している人々にもたらされます。私たちには人生の目標、家族の目標、仕事の目標があり、それらのいずれかで進歩している場合、私たちは通常幸せであり、そうでない場合、私たちは通常、その特定の領域で幸せではありません。
このエッセイの中では「幸福感というものは、個々人が自分にとって大事にしている事や目標としているものに進んでいる、達成しているという認知から生まれるのだ」と述べられています。従って上記にも言及されているようにあなたの幸福感と私の幸福感は違う、という事が私たち自身が友人と話している時も、家族と話している時も、職場の同僚と話している時も同様に起こるという事が想像できます。
しかし、ここでのポイントは「プロセスは共通である」という事です。
前に向かっている事そのものが夫々の幸福感を追及していく中で重要であるということなのです。
4.幸福は属人的で多様である。
では人々が幸福として定義するものは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?国によってもその点は違うようです。
米国では、人々が幸福とラベル付けしているのは、多くの場合、関心、興奮、情熱、楽観主義などの高エネルギーで前向きな感情です。落ち着いて幸せな人は、熱心ではないとさえ見なされるかもしれません。
ヨーロッパ諸国やアジアの一部など、世界の他の地域では、人々はより穏やかで中立的な快適な州を好むことができます。
したがって、国と組織の両方に固有の価値観は、従業員の幸せを定義する上で重要であり、幸せというものは個別化せざるを得ないという事がわかると思います。
5.社員の幸福を追求する組織に必要なのは、Openess(オープンさ)とInclusion(許容性)
では、組織として社員の幸福を追求するために何が必要なのでしょうか?
上述の通り、
・幸福感とは全体として、それは私たちが幸せなときに定義する否定的な感情を肯定的な経験が上回るかどうかが大事
・幸福感とはプロセスで、自分が大事にしているものに向かっている、または達成することによってもたらされる。
・幸福は属人的で多様
というポイントがありました。
組織という複数の人間が接点を持つコミュニティがどうあるべきかについて、人々の感情の違いをもっとオープンに受け入れたら組織としての幸福を追求できるのではないか?と述べます。
従って、私たちが出来ることは以下の事です。
・感情を表すことを是とする
・ネガティブ体験の抑制よりも、ポジティブ体験での補いを大事にする
・幸福を一つに定義しない(昇格する事、より良い給料をもらう事、役職を得る事、家族を持つこと、子どもを持つこと、などなど)
最後まで読んで頂き有り難うございました。
Well-beingという概念を通じて自らの組織をもっとよい組織にしたいと思っている方に少しでも参考になっていると幸いです。
私は誰ですか?
著者:松澤 勝充
神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。企業向けの採用支援・組織開発支援、総合商社で2年半採用経験を経て、2017年より、執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了。卒業後、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事。2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。
保有資格:The Science of Happiness(UC Berkeley)、DiSC認定トレーナー、ピープル・アナリティクス(authorized by the University of Pennsylvania)、ポジティブ・サイコロジー・ワークショップ(Japan Positive Psychology Institute)、他
お問い合わせ先:contact@every-co.com