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死への保険
私は14歳の時に急病にかかったが
死に損なった。
数年後また急病にかかったが
また死に損なった。
そして変な脳の病気を抱えた。
そのうち精神が崩壊した。
ちょこちょこそんな事があるせいですっかり保険に入り損ねて、保険を考える年頃、タイミングにはことごとく保険会社に断られる始末になって現在に至る。
もう保険には精神科に通っている以上入れないだろうし、入ったところで現在世話になる場合は精神科関連になってしまうので、
保険はおりないだろう。
なので保険はもう諦めた。
それにいつの間にか、別の保険に興味が向いていた。
それは死への保険だ。
私は今致死量の薬をせっせこためて所持している。
しかし完全にするにはもう少し必要なのでまだ集めている最中だ。
これはたまたまだった。
たまたま私の症状に合う薬がないがために、
珍しい薬を処方されるようになった。
そして私は新しい薬が出る度に自分で調べられるだけその薬が太らない薬かを調べ尽くさないと飲めない性格だった。
そんな面倒な性格が功を奏して見つけてしまったのま。
この薬はある一定のの錠数で死ぬ。
それは他の薬からしたら今時珍しい位少ない錠数で致死量に達する。
薬の用法容量は守らない私はいっぺんにかなりの錠数を飲めるから、私ならいける量だった。
なのでその薬を貯めている。
もう致死量には達しているが念には念をと
もう少し多めに貯めておくつもりだ。
これで私はいつでも私からさよならができるのだ。
宝物の様にかわいいお気に入りの缶に大切に保管してある。
これがあるだけで心が少し楽になる。
不思議だ。
未知なる世界へ行く様なもので、そんなもん不安に思うのが私という人間なのに、
もう2度と戻ってこれない片道切符しかない
死という未知の世界へ行くのに、
怖さは全く感じない。
むしろ…ドキドキというよりゾクゾクする。
不安はないが、何かあるとしたら、
この世に残した私の恥が遺品整理でしられる事くらいだろう。
ただそれだけだ。
だけど使うタイミングはわからない。
今かもしれない。
今でも別にいい。
だけど物事にはタイミングはとても大切だからそれは今ではない気もする。
タイミングを無視するなら勢いだ。
それも今はない。
今は無気力の塊すぎてただ息を吸って吐いてるだけで精一杯だ。
でも私には保険がしっかりある。
毎日箱を開けては確認する。
私にはちゃんと保険がある。
それだけで安心する。
それでいいのかもしれない。
一生使わないかもしれない。
でもそれでもいいのかもしれない。
いつでも使える。
それがあるだけで私は安心できるのだから。
もしその保険を使う日が来たら、私は最期に愛犬への謝罪と2度ともう2度となんの生き物にも生まれ変わりません様にと真剣に祈る。
この世にはもう2度と来たくない。