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写真の奥には

 先日妹と一緒にフードコートでお昼ご飯を食べた。どこにでもあるようなありふれたフードコートで、どこにでもあるようなラーメンを食べた。
 お箸を手に「いざラーメン!」と勝手に意気込んでいたら、妹がスマホを取り出してラーメンの写真を撮りはじめた。

「なんで写真?」
「撮りたかったから」
「記録してんの?」
「ストーリーに上げるの」

「ストーリー」がインスタグラムの「ストーリー」を指していることはさすがの私でもわかった。ただ、何の変哲もないラーメン(めちゃくちゃ美味しかった!!!)を(麺が伸び、冷めてしまうのに)写真に収め、それを投稿する理由まではわからなかった。 

 なんとなく、「見てほしい」「知ってほしい」「いいねやコメントが欲しい」という承認欲求の表れなのかなと思ったが、それならば珍しい食べ物やそれこそ「映えてる」食べ物を対象にすると思っていたのだ。

「食べ物そのものを記録したいってのもあるけど、食べるまでの経緯、一緒に食べてる人、そういうのも含めて写真に残したいの!」

 と半ばキレ気味で妹に説教(?)された。一緒に食べてる人……? ということは私との思い出も大切にしたいのかあ、そうかそうかあ、とその後はニコニコでラーメンを啜った。

 私は妹と違ってあまり食べもの、料理の写真を撮らない。お洒落なカフェやランチに行っても、目の前に運ばれたらコンマ1秒で「いただきます」と言ってしまうタイプだ。
 だが、その食べ物には「食べにきた経緯」「一緒に食べている人」など、その日やその時の思い出が詰まっている。

 ということで、私も食べ物の写真を撮ってみることにした。残念なことに、意気込んでからなかなか外食する機会がなかったので、私のお昼ご飯(自炊)の写真だ。

かまたまうどん。ネギが凍っているのがポイント。
温玉うどん。麺が硬かった。

 最近私はうどんにハマっている。毎日食べてる。たまごと絡めると、これが抜群に美味しいのだ。この写真を見返せば、それは単なる「写真」ではなく、うどんにハマっていたころの自分や、まだレパートリーを知らない未熟な自分が一緒に思い返せるだろう。

 食べ物、飲み物、なんでもいいが、写真を撮ると「食べるぞ!」という気合が湧いてくる。写真を撮るために(なるべく)綺麗に盛り付けをしたから、綺麗に食べようという気持ちも湧いてくる。

 いつかお洒落なカフェに行ったときは、よだれを垂らして飛びつくのではなく、まずはお腹の虫を落ち着かせて写真を撮ってみるのもいいかもしれない。

 そのまえに「映えてる」写真の撮り方を学ばねば。

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