2024年に読んで良かった本
2024年ももう終わってしまったのですが…遅ればせながら去年読んで良かった本を紹介します。
一部は振り返り記事にも書いてて重複してますが、本と本とのつながりとかも含めて考えられればと思ってます。
2024年はおそらく100冊くらい読めた。目標が30冊だったので、大幅達成。2025年も100冊を目指してたくさん読みたい。
【小説】
空白を満たしなさい/平野啓一郎
4月に友人を自死で亡くし、色々考えていたときに読んだ本。分人という考え方や、自死に繋がるまでの主人公の気持ちなどが興味深く、考えさせられた。
おもしろくてドキドキして、めっちゃ夜ふかしして読んだ。小説の悪いところはおもしろすぎて夜ふかししてしまうところ。
護られなかった者たちへ/中山七里
ミステリーですが、生活保護の水際作戦によりこぼれ落ちてしまった人々に焦点を当てた、示唆のある作品。
今は水際作戦の実態も変わっているらしいけど、本来届くべき人に届かないことは大きな問題だと、この本を読んで初めて知ったこともあったのでもっと社会を知らなければと自戒。
境界線/中山七里
「護られなかった者たちへ」のシリーズもの。このシリーズは主人公である刑事が東日本大震災の被災者なのだけど、この作品では被災によって亡くなった人の戸籍が悪用されていた。
様々な事情で本来の戸籍では生きづらい人たちへ焦点を当てた作品。これを読む前後で平野啓一郎の「ある男」を読んだので、それと繋がっているように感じて、読む順番は本当に偶然で予備知識もなく選んだのだけど、考えさせられた。
ある男/平野啓一郎
「愛したはずの夫は、まったくの別人でした──」この一文で紹介され、映画化もされている。
で、このまったく別人というのは、戸籍上違う人物だったということ。これも、本来の戸籍や名前では生きづらい人たちの世界を写している。
こういうことが実際に行われているのかどうか、私は知らないのだけど、加害者家族などは生きづらさを感じているだろうし、自分が想像してこなかった現実についても知る努力をしなければ、と感じた。
禁忌の子/山口美桜
主人公の救急医のもとに搬送されてきたのは、自分に瓜二つの遺体だった。
その謎を解き明かしていくミステリー。
テーマとなっている生殖医療は、子どもが欲しい人には希望につながるものだけど、在り方や倫理観はずっと考えていかないといけないことなのだろう。
そして、同時期に藤ノ木優の「-196℃のゆりかご」を読み、これも生殖医療を題材にしていた。
境界線、ある男、禁忌の子、-196℃のゆりかご、と戸籍や遺伝子などの事実上の家族との繋がりや自分を証明するものを巡るミステリーを立て続けに読んで、自分を自分たらしめるものってなんなのか、家族ってなんなのか、と考えた。
私は戸籍上も遺伝上も母と父の子で(遺伝子検査したことはないけど)、血の繋がった家族として育ってきた。でも、もし遺伝上の繋がりがないとしたら?それでも家族として育ててもらったことは変わらない。
だから、戸籍や血の繋がりだけが家族を形作るものではないと思うけど、そういう単純なことばかりではないな、とも思う。
永遠についての証明/岩井圭也
数学の才能を持って生まれた天才・瞭司が、才能を持っているが故に周囲に理解されず、孤独と生きづらさを抱えて、最後にはこぼれ落ちた。
そんな天才の苦悩には、やはり凡人は気づくのが難しく、その葛藤が描かれていた。
瞭司にとって、誰かと分かりあい、受け入れてもらえた瞬間が幸せだったというのがただただ切ない。
「奇蹟がくれた数式」という、インドの数学者ラマヌジャンが主人公の映画も、同様な天才で他者と分かり合うのが難しかったという話が最近読んだ本で紹介されていて、映画を見てみようと思う。
【ビジネス、人文、その他】
エネルギーをめぐる旅/古舘恒介
最初にkindleで読んだのは2022年なんですが、好きすぎて紙の本も購入して、2回目を読んだ。
エネルギーをテーマに歴史と資本主義について考えられる、私のバイブルに近い本かもしれない…。
これがきっかけでエネルギー業界に関わるべく転職しました。笑
サピエンス全史・下/ユヴァル・ノア・ハラリ
「環境や動物を犠牲にして便利さのために突き進んできて、そのままでいいの?」と投げかけられたと感じた。
世界は生きやすく、便利になったのに、自殺者は絶えない。
これも私が資本主義について興味を持ち、キャリアを変えるきっかけにもなったので間違いなく自分の人生を変えた本。
失敗の科学/マシュー・サイド
多様性の科学を書いた著者の本で、多様性の科学も読んでよかったけどこれも読んでよかった。
航空業界が多々の失敗を元に、かなり厳格に改善されて、事故が起こる確率がかなり低い今の状態になったこと。対して医療業界ではミスが有耶無耶になりやすいこと。
ミスを報告しやすくして改善策がとれる仕組みづくりが大事だということ。そういう組織を、もっというと業界を、社会を作るのは一朝一夕ではできないが、重要なことだ。
次は「勝者の科学」を読みたい。
ファイナンス思考/楠木健
大学院でファイナンスの授業を受けて、先生がおすすめしていたので読んだのだけど、事例も載っててわかりやすかった。
PL脳(売上至上主義)の悪い点と、何を大事にすべきか?という観点が書かれていた。これは私の課題感にも合っているように思えたので、もっと深く知りたい。
沖縄について私たちが知っておきたいこと/高橋哲哉
私は旅行が好きなんですが、行く先々の土地についてもっと知ろうと思うようになったきっかけの本。
石垣島に行くときに、乗り換えの那覇空港の本屋でたまたま見つけて買った。沖縄が抱える様々な問題について取り上げられている。
たとえば移住者が多い沖縄で、沖縄の歴史や抱える問題を知らない人たちが増えて、そういう人たちも選挙権を持っているということ。
ただ温暖な気候や美しい海に魅了されたという理由で、「沖縄が好き」と言っていいのか、沖縄が好きなら本土に住む私たちがすべきことは何か?など。
行ったことのある場所は、やはり愛着も湧くし興味も持ちやすいし、考えるきっかけになる。だから私は旅行が好きで、そしてその行く先のことをもっと知る努力をしようと思った。
ということで、なぜかたまたま読んだ本のテーマが繋がっている、ということが多い1年でした。そういう偶然性も含めて、読書は楽しい。
2024年は小説がたくさん読めたのも良かった点でした。今年もたくさんの本に出会えますように。