伊澤颯(そう)

大学生 ジャンル、形式問わず不定期投稿 気軽に見ていただけたら、、、

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【短編小説】眠る街

 目が覚めた。時計の針は3時を指していた。日付が変わる頃に布団に入り、目を瞑った、はず。ここ最近こんなことが続いている。  悪くいえば「眠れない」、良くいえば「早起き」なのだが、いずれにせよ睡眠時間が短くなっているので、気持ちの良いものではない。目を覚ましたといえど、猫も杓子もどうでもよく感じて、いつもベッドの上で自分の心臓の音と秒針の音だけが聞こえる部屋でボーっとしているだけだ。  だが今日は何か違う。僕は徐にベッドから出て、寝間着に一枚薄いウインドブレーカーを羽織った。

    • 【連載小説】傘とブラックコーヒー ④

      「すみません。自己紹介が遅れました。中山葉月と言います。改めて、昨日は傘をお借りしてしまって申し訳ありません。」 今更になっての自己紹介。 「僕は森翔太です。本当にもう謝ってもらわなくて大丈夫です。」 マスターがコーヒー豆を挽く音が鳴り続けている。 「葉月さんは同じ学科だったんですね。すみません、一度もお見掛けしたことがなかったもので。」 「そりゃあ会わないですよ。私、留年してるんです。恥ずかしながら。」 先生、宿題忘れてきちゃいましたと言わんばかりのテンションで

      • 【連載小説】傘とブラックコーヒー ③

        「やあ葉月ちゃん。お客さん連れてきたのかい。」 マスターだ。蝶ネクタイにエプロン、丸眼鏡。おまけにコーヒー豆を挽いている。一目でわかった。 「はい! 昨日私が傘を借りた方を連れてきました! お礼に!」 ちょっと待て。少し違うな。傘を、盗んだ、お詫び、だろ。 「また、人の傘を借りたのかい。」 「いやあ、恥ずかしながら。」 「その度にお客さん連れてきてくれるから、お店としては嬉しいんだけどね。」 分かったことが二つある。彼女の名前は葉月。それから人の傘を盗む常習犯だという

        • 【エッセイ】たられば、かもしれ

          僕は人に恵まれている。これだけは胸を張って自慢できること。どんな場所、どんな環境に行っても仲良くしてくれる友達や先輩後輩が周りにいる。本当に心から幸せだと思う。    僕は高校受験、大学受験と第一志望の学校に受かったことがない。特に高校受験の時にはひどく落ち込んだし、これからどうしようと思っていた。  でも今思うのは、まだ20年そこらしか生きていないが、高校の三年間が人生で一番楽しい時間だということ。まあこの高校の三年間は死ぬ時にも、「人生で楽しかった時間ランキング~!」の

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        【短編小説】眠る街

          【エッセイ】アウトプット

           最近、「インプット」について自分の思うところを書かせてもらったが、今回は「アウトプット」について書こうと思う。  自分はとてもインプットが多い人間だと思う。もちろんこのnoteで活動している人たちもインプットが多いと思うし、なんなら僕よりもいろいろなことに興味を持ったり、勉強したりしている人がいると思う。  しかし、インプットばかりしているだけでは脳のメモリがパンクしてしまう。それに自分にいろんな経験や知識を入れるのはとても良いことだが、自分の中だけで完結させてしまうの

          【エッセイ】アウトプット

          【短編小説】 あの雲を追いかけて

          一体どれくらいの時間が経ったのか。気づけば高三の夏。自分の記憶が正しければ、高一の終わりから学校に行っていない。特に理由はない。別にいじめられてもいないし、友達も多くはないがそれなりにいた。    ただ何となく「学校」という退屈極まりない場所に行くのが億劫になっただけで、心身共に健康だ。家事の手伝いやおつかいにも行くし、散歩にだって行く。不登校ということを除けば良い息子だと思う。我ながら。  今日は隣町まで海を見に行こう。何より小、中と仲が良かったユースケがいる。久しぶりに

          【短編小説】 あの雲を追いかけて

          【短編小説】長いものには巻かれよ

           ブルーハーツに憧れてバンドを始めた。ありがちな理由だろう。シンプル、ストレート、メッセージ性の三拍子そろった歌詞、幅広い楽曲、そして魂のライブパフォーマンス。「こうなりたい」と思って楽器に初めて出会った中高生は全国にどれほどいただろうか。俺もその一人だ。かっこいいバンドマンになりたい。いや、かっこいい男になりたい。  そう思ってコピーバンドから始め、曲を書き、ブルーハーツさながらのパフォーマンス(ただのモノマネ)で、パンクバンドをがむしゃらにやっていた。が、そんなコピーバン

          【短編小説】長いものには巻かれよ

          【連載小説】傘とブラックコーヒー ②

           偶然、今日の授業は三限までだった。昨日は一晩中、溜まっていた提出間近のレポートとの泥試合を繰り広げたため、今すぐにでも家に帰って、眠りにつきたい気分だった。半ば、脅迫ともとれる彼女の言葉を思い出し、僕はしぶしぶ教室へと向かった。 教 室を覗くと、彼女は机に伏せていた。寝ているのか。強引に誘っておいてそれはないだろう。しかも僕は今日徹夜明けだ。 「はあ。」と少し大きなため息を漏らしてしまった。 「わあ、びっくりした。ごめんなさい、寝てました。」   僕のイライラはピークに達

          【連載小説】傘とブラックコーヒー ②

          【エッセイ】 泳ぎ続ける

           自分はマグロのような人間だと思う。隠語ではない。マグロは泳ぐのをやめると死んでしまう。そんな感じで自分という人間も、休んでしまうと心も体も死んでしまう。正確にいうと「休み方」の問題なのだが、とにかく止まってはいけないと常に意識するようにしている。    例えば何も予定のない日曜日。昼過ぎに起きて、そのまま夜までベッドでゴロゴロ…。そんな一日を過ごしたが最後、次の日から動くための活力は一向に湧かない。休日だからこそ、外に出て活動をするべきだ。友人と遊びに行く、一人で散歩する、

          【エッセイ】 泳ぎ続ける

          【連載小説】傘とブラックコーヒー ①

            「失くしたモノを見つけられる能力が欲しい。」  傘を失くす度に僕はそう思う。まあまず、失くし物をしない努力をすればいい話なのだが、身に付いた悪癖はそう簡単に直るものではない。毎日、スマホをどこに置いたのかと自分の家の中を捜索し、財布はどこだと癇癪を起こし、自分への憤りと毎日戦闘中だ。今日だってそうだ。授業が終わり、教室を出ようとすると、僕の傘は跡形もなく消えていた。この場合、「失くした」ではなく「盗られた」なのだが、いずれにせよ僕の傘は知らない誰かの家路についているはずだ

          【連載小説】傘とブラックコーヒー ①

          【エッセイ】 インプット

          僕はインプットをしない人間が一番嫌いだ。カッコつけずに言うと「いろんなものに興味がない人間」だろうか。 「このバンド知ってる?」「知らないっすね。」 「あの映画面白かったよね!」「見たことない。」 こんな人たちと会話していても何も面白くない。もはや逆に興味が湧いてくる。普段何を見て何を聞いて何から刺激を受けて生きているのだろうか。 僕は「知っている」以上に「知らない」が大好きだ。子供のころの「なぜなぜ期」が終わらない状態。人に勧められたものは必ず一度は自分に取り入れる。食わ

          【エッセイ】 インプット

          【エッセイ】 好き嫌い

             先日、後輩と一緒にサウナに行った。その後輩とは月1、2のペースでサウナに行くのだが、彼との会話には毎回、良くも悪くも刺激を受ける。  その日はサウナで汗を流し、「整った」後、夕食は町中華を食べた。僕は五目ラーメンを注文し、彼は中華そば(ねぎ、メンマ抜き)を注文した。元々好き嫌いが多いのは知っていたが、届いた中華そばを見て思わず笑ってしまった。具はチャーシューとなるとだけ。なんとも質素な中華そばなのだろう。いやこれが真のチャーシュー麺なのか。  一方、僕はこれと言って嫌

          【エッセイ】 好き嫌い

          【掌編小説】フラッシュバック

          年末の仙台駅は、午前中でも人の多さで具合が悪くなる。キャリーケースを引きながら改札から出てきた大学生くらいの男性は、これからまたバスや地下鉄に揺られて、人の多さと、暖房の効きすぎた車内で吐きそうになりながら帰るのだろうか。それとも、親か誰かが迎えに来てお昼ご飯を食べながら帰るのだろうか。そんなことを考えながら、僕はもう一度、昨日ダウンロードしたパズルゲームに夢中になった。広告でよく見るやつだ。待ち合わせの時間はもうすでに三十分以上も過ぎていた。   綾と会うのは駅前のカフ

          【掌編小説】フラッシュバック

          自己紹介

          初めまして。伊澤颯(そう)と申します。 現在、僕は大学在学中で理系学生です。理系ですが、卒業後は文字、文章を扱う仕事に就職が決まっているため練習がてら投稿をしたいと思っています。ジャンルや形式は様々で、学業などがあるので不定期投稿になってしまうと思いますがよろしくお願いいたします。 好きなもの ・映画 一番好きな映画はベタですが、「スターウォーズ」シリーズ 好きというか人生で一番何回も見ている映画かと、、、 ジャンルで言えばSFやドキュメンタリーが好きで、邦画、洋画まん