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文学トリマー

やっと連れて行ける。
引っ越しで忙しかったうえ、暑い日が続いた。
イムの毛は、最長記録をとっくに更新している。


「ごめんね、綺麗にしようね。」と、新居近くの店へ来た。


待合室には雑誌や漫画に加え、小説やビジネス書、図録や洋書まである。
トリマーの私物で貸出可、次回来店時の返却でいいという。


全身を手際良く整え、トリマーはイムにおすすめの食べ物や遊びを教えてくれた。
今までで一番良かったため、次回の予約もした。


帰り際、犬用保湿クリームのパウチを渡された。

「今晩塗っていただいて、来月をお楽しみに!」

来月?と思いつつ、寝る前に塗ってやった。



あれから1ヶ月。
地域の花火大会に行くことにした。
慣れないゆえか、イムはソワソワしている。


花火のお供を調達し、まもなく開始というとき。


一瞬毛をピカピカさせ、滅多に吠えないイムが吠えた。
それを合図に、花火が上がり始めた。


「星作りイム。書けそう!」


花火の音や歓声に紛れて、そんな声が聞こえた気がした。

(410字)



※下記企画への参加記事です。


久しぶりに参加できました…!


お題を機に、まさか花火の作り方を知ることになるとは思いもよりませんでした。


他の方から出されたテーマを通じて、新たな知識が増える。
そうして創作の輪も幅も広がるって素敵だなと、つくづく思います。

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