カフェ4分33秒 (毎週ショートショートnote) (2023年9月16日追記)
ケトルからの大きな音が合図。さぁ開店。
ドリッパーにフィルター、そこへ茶色い粉を一匙。家でこうしてコーヒーを淹れるようになり、がぶ飲みが減った。
ドリッパーやキャニスター缶の色や手触り。
熱湯が粉へ染み込んで泡立ったり、抽出されたコーヒーが滴ったりする、音や変化の様子。
広がる香りに、深くも苦すぎない風味。
一人でカフェには滅多に行けないし、幼い子どもと行って楽しめるのは初めだけ。
そんな頃に出逢ったドリッパー。
キッチンに彩りと安らぎをもたらすブルーグレー、省スペースで食洗機も可とは。今の私にぴったりだ。
知識はないが、香りや味の違いにも気付かされる。プチ贅沢に、様々な豆を試すようになった。
大抵は食事の準備や洗い物をしながら淹れざるを得ないが、時折ただ淹れることに集中できる。すると、焦りや苛立ちから一層解放される感覚とともに、一杯を堪能できる。
「ママー!」
激しい雷雨に子どもが目を覚ました。
私も寝ちゃったしな。
ドリッパーをセットしてから5分弱。本日は大音量にて閉店なり。
(433字)
※当記事は、こちらの企画への参加記事です。
(2023年9月16日追記)
当記事の元ネタとなったドリッパー等につきまして、下記記事にて言及いたしました。