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あなたの姉はどこから?(文フリ告知!)

今さっき羽田空港に着陸したんですけど、降下中に見下ろした富士山が幻想的で素敵でした。私雨女なもので、なかなか飛行機からの絶景に巡り会えない運命にあるんですけど、今日の富士山は本当に、とても美しゅうて美しゅうて、神からの祝福を感じました。何に対する祝福かって?もちろん明日の文学フリマですよ!

去年に引き続き、今年も西野夏葉さん主催のアンソロジーに参加させていただきました。西野さん、今年も素敵な機会をありがとうございます。こちらの詳しい情報は西野さんの記事をご確認ください。

さてここからは、寄稿させて頂いた作品についてちょっと語ってみようと思います。


この世の「姉」など

今回のアンソロジーのテーマは「姉」です。
私はこの、「姉」という現象にとても強い思入れというか、いわゆるクソデカ感情を抱えている人間なので、西野さんの「姉アンソロ」という呟きを見た瞬間にバァーーって色んなことを思いつきました。こうなるともう書くしかないので、応募開始3分で申し込みを完了させていただきました。ありがとうございます。

私はあらゆる性格診断・性格分析・あるあるまとめ等の中で最も一番嫌いなのが、「きょうだい」にまつわるものです。だって誰だって第一子になりたくて生まれたわけじゃないし、末っ子がよくて誕生したわけじゃないし、真ん中っ子を狙ってオギャったわけじゃないし、一人っ子がよくてその家庭を選んだわけじゃないのに。確かに環境によって世話好きだとかなんだとか、傾向が出てくるのはあると思うんですけど。でも納得いかないんです。何より「兄・姉」に関する事項はもう、ほとんど悪口しか書かれないんですよ。唯一の長所が「世話好き」で、あとは「横暴」とか「自分が偉いと勘違いしている」とか「真面目で平凡でつまらない」とか「いつでも洋服は新品(お下がりがない)」とか……。これは私の話じゃないんですけど、姉なのに妹からお下がりもらった人だっているんですよ!周り回って同級生のお下がりもらった人だっているんですよ!その人の気持ち考えたことあるんですか!?全然私の話じゃないんですけどね!!

以上を踏まえて、私の作品では「救世主たる姉など、この世に存在しない」をテーマに、私の理想の姉の立場について、物語にしました。

inspired by …

書き上げて読み返して、やっぱ私って色んな作品に影響受けて生きてきたなぁってしみじみ思いました。そんなの誰でもそうだろうという話ではあるんですけど、今回の作品に関してはここの部分はあの作品を読んでないと、観てないと書けなかったな、というのが明確にあったので。
それをいくつか紹介します。

・「アナと雪の女王」

子どもの頃、主人公プリンセスってみんな一人っ子か末っ子じゃんって勝手に気がついて勝手に傷ついたことがあります。だからエルサの登場は本当に嬉しかった。
原案でエルサは悪役だったのに「Let it go」があまりに良すぎてプリンセスになったという逸話がお気に入りです。
私が最も影響を受けたのは、エルサのキャラクターを練る際に妹が集まって「姉会議」を開いたという話。この会議では「妹は、姉はなにか不思議な力を持つ存在だと思っている」と結論づけられたそうです。それが尊敬からくるものなのか畏怖からくるものなのかは人それぞれだけれど、でもとにかく「姉は特別だ」という意識が妹にはあるそうで。全部聞いた話なんで正確な情報ではないんですけど。
この「姉会議」の結論が興味深くて大好きです。欧米なんて特に姉を「お姉ちゃん」と呼ぶ文化もないのに、それでも年上のきょうだいとしての意識は文化云々関係なく存在するんだなと思うと面白くって。私の作品の「姉」も、幾分かそういうお姉ちゃんの雰囲気が出るように努めました。

・「ハリー・ポッター」

皆さんご存知の通り、ハリーには両親がいません。とあるシーンでハリーは「両親がいたらいいのにと思った。ロンの母親のように甘やかすだけでなく、ダンブルドアのように遠回しでなく、真正面から自分について向き合ってくれて、絶妙なアドバイスをくれる存在が欲しいと思った」みたいに思うんですよ。(それが正確に何巻のどのシーンかは忘れてしまって、本をパラパラめくって探したんですけど見つかりませんでした……。でもこんなに感銘を受けたんだからちゃんとどこかに存在するはず……。)
とにかく、ハリーが両親が欲しいと思ったというモノローグ的な地の文があって、それを読んだ時に私は「世界はそれを理想の大人と呼ぶんだぜ」と思ったんですよ。ハリーは両親がいなかったからそれを両親に当てはめて考えたのかもしれないけど、両親がいたところでハリーはきっと「兄か姉がいればよかった」って言いますよ。結局、両親も兄も姉も、理想通りに存在しないんじゃないかと思って。つまり理想の大人って存在しないんじゃないかって。
それでも私たちは気がついたら大人になってしまう。じゃあ何を理想として何を求めて大きくなればいいのか。どうやって大人になるのか。今回の作品ではその答えを書きました。私なりに。

・「はいよろこんで」

こっちのけんとさんのインタビューを見ました。きょうだいのしんどいところって、上の子達だけじゃなくって、真ん中も末っ子もそれぞれの苦労があるところなんですよね。この楽曲はそのきょうだいの間で起こったこと、こっちのけんとさんの体験談から生まれた楽曲らしいです。遠い存在になってしまったきょうだいと、それに追いつきたい自分と、それから理想と現実、辛い過去と今の自分のギャップ。それが綯い交ぜになった歌詞がリズム良く飛び出す、最高の楽曲です。
姉には姉の、妹には妹の、それぞれの人生があって、それが絶妙に噛み合うからきょうだいなんだと思います。上手く言えないな。書いた作品には上手く表現できてるといいな。

チャレンジがひとつ

今回はひとつ、自分への課題として、心理描写を細かく入れることをしてみました。全然なれなくって、書いても書いても下手くそなんで何回もやり直しました。プロットを書くといつも書きたい展開が多くなり過ぎて心理描写を入れ込む隙がない感じになってしまうんですけど、今回はそれも見直して、展開をシンプルにまとめました。見どころは後半の方です。読者の皆様にどうかどうか伝わりますように。

最後に

『姉アンソロジー 〜姉は憂いの玉箒〜』には、私以外に7名の方の作品がございます。並んだお名前を見た時に、なんだか私のとこだけ凹んでる気がするくらい、皆様素晴らしい作品をお書きになる方々です。こんなとこによく突っ込んでったな私。怖いよ。
読者の皆様にも、理想の姉が見つかりますように。
ぜひお手にお取りください!

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