ある夏の日
蝉が鳴いている。
蝉しぐれと照りつける強い日差しの中
川沿いを歩く。
じりじりと焦げるような感覚を覚える。
少し風が吹いて
黙々と歩く自分を追い越すように
とんぼが連れ立って飛ぶ。
ときに空中で停止したり
地面や草にとまったりしながら
暑い夏を謳歌している。
ゆるく流れる川には
複数の亀がいた。
何匹かが水面から顔を出している。
少し近づくと次々と潜っていった。
木陰に入る。
少し湿気を含んだ暑い空気と
世界に満ちるような蝉の声。
ゆらゆらと揺れる木の影と
まぶしい夏の光。
ぼんやりする頭でなんとなく
あぁ夏だなと思う。
空を見ると青い空には
湧き上がるような白い雲。
立体的で影ができる夏の雲が
とても鮮明に見えた。