押井守とピンチョン
押井守のアニメ映画『天使のたまご』(1985)には、卵を抱いている女性が出てくる。一方、トマス・ピンチョンの短篇小説「エントロピー」(1960)には、鳥を抱いている男性が出てくる。ちょっと似ている。
別にパクリだ何だと言いたいわけではない。むしろ、こういう系譜は非常に興味深い。
どちらの作品も、とても難解であり、分析するとなると手に余る感が否めない。ただ一言だけ言うとすれば、卵や鳥を温めるという内向きの行為と、宇宙の根本原理のようなコスモロジカルな世界観とが連動しているようだ。
しかし結局、卵は割れてしまうし、鳥は死んでしまうのだが。