女性作家が描く男子集団
女性作家が男子同士のやり取りを描くと、どうしても不自然だったりする(逆もまた然りだが)。
鹿島田真希の『二匹』は、掛け合いのシュールさを差し引いても、実際の男子同士のノリとは違った雰囲気を感じる。
高野文子の「絶対安全剃刀」(『絶対安全剃刀』の表題作)も同様に、シュールさとは関係なく、どこか現実の男子たちとは違う。
おそらく、どちらも「甘え」や「馴れ合い」が強すぎるのだ。
男性が読むと、なんとも言えない「こそばゆさ」を堪能できる。
一方、湯本香樹実の『夏の庭』と柳美里の「少年倶楽部」は、男子の集団が上手く描かれていると思う。
二作品とも、中学受験を控えた小学生たちが出てくる。
そういう属性だと描きやすいのだろうか?
公と私の二重性によるダブル・バインド的状況が、女性性と共鳴するのかもしれない。