謎生活もの
筆者は個人的に「謎生活もの」というジャンルを規定し、鑑賞した作品をいくつかカテゴライズしている。このジャンルの定義は、「ひょんなことから日常生活がストップしてしまい、やることがないから、とりあえず遊んで過ごす」という内容が含まれる作品だ。そんな作品あるか?と思われるかもしれないが、実は結構あるのだ。
映画では、押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』がそうだ。また、北野武の『ソナチネ』、ロメロの『ゾンビ』も当てはまる。登場人物たちは「このままでいいのかなぁ?」と内心思いながらも遊び続け、そしてある時ついに現実に直面させられる。
小説では、庄野潤三の「プールサイド小景」があるし、安岡章太郎の「海辺の光景」も一部該当する。後者の主人公は遊んだりはしないが、とりあえず親の指示どおり動くという、主体性のなさを見せる。その場面は終戦直後の混乱期なので、無気力になるのも無理はないのだが。
最後にノンフィクションから、エマニュエル・カレール『嘘をついた男』(河出書房新社)を挙げておこう。自分の家族をも騙し続けた偽医者の話である。これも少し定義からズレるが、まあ良しとしよう。
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