ウィリアム・ブレイクの幻視
私が詩人のウィリアム・ブレイクに興味をもったのは、映画『レッド・ドラゴン』がきっかけでした。
「ハンニバル・レクター」シリーズです。
ブレイク作の「大いなる赤き竜と日をまとう女」が登場します。
ただし、これは絵画作品。
彼はそもそも画家として出発しました。
ブレイクの肖像画を見ると、大きな眼が特徴的です。
少年時代、その眼で彼は天使を目撃したんだとか。
こうした鋭敏な感覚が、神秘的な作風に反映されているのでしょう。
そんなブレイクですが、幻ばかりでなく現実も見ていたようです。
「ニュートン」という版画は、自然を軽視する近代文明への批判だと言われています。
近代科学の「権化」であるニュートンを批判的に描いたとのこと。
しかし私には、岩場に座る裸の男の陰鬱な表情は、むしろ同情的に描かれているように見えます。
本来は一個人には大きすぎる、歴史を変えるほどの力を持ってしまった科学者への憐憫ではないでしょうか。
神がかり的という意味では、ニュートンもブレイクも似た者同士かもしれませんね。
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