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まんまるの本棚2022

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2022年10月の記事一覧

『武道館』朝井リョウ

『武道館』朝井リョウ

本屋が好きだ。

新刊を売る本屋も、中古本を売る本屋も好きだ。

一生かかっても読み切ることができないような本の量。絶望であり幸福だと思う。まだまだ読んだことのない本がたくさんあって焦りと安心がともにやってくる。

というわけで、積読している本がたくさんあるくせに本屋に行った。

そこで目に入ってきた一冊。

私は二次元・三次元問わず女性アイドルが好きで、しかし、どうして彼女らが好きなのか言語化で

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『傲慢と善良』辻村深月

『傲慢と善良』辻村深月

人に勧められて本書を手に取る。

最近は人に勧められた本を読むことが多い。

それは、いまの自分に何かが足りないと思っているからで、その何かが本や音楽や、あるいは何らかの対話から得られればいいと思っているからだ。

要は、アウトプットよりもインプットがしたいということだと思う。

本書では「選択するとはどういうことか」について徹底的に書かれている。

ともに30代も佳境の架と真実のふたりの恋愛と結

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『僕の狂ったフェミ彼女』ミン・ジヒョン(加藤慧訳)

『僕の狂ったフェミ彼女』ミン・ジヒョン(加藤慧訳)

目を惹く鮮やかな黄色の表紙。タイトル。

書店で見かけ、おもわず手に取った。

結局、韓国でも日本でも吐き気を催すようなミソジニーは大差ない。

韓国では「メガル」、日本では「フェミ」がフェミニストの蔑称として使われ、フェミニストであることは不名誉なことであるかのように語られる。

本著の主人公とその友人のような「ハンナム(ホモソーシャルのなかにいて家父長制とミソジニーを内面化した男性)」は、両国

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『スモールワールズ』一穂ミチ

『スモールワールズ』一穂ミチ

いわた書店さんの一万円選書、六冊目。

積読をしていることがいまは苦痛で、少しでも未読の本を減らそうと半ば義務感から読み始める。

しかし、読み始めると止まらない。

適当に読み進めていこうと思っていたけど、気が付くと夜が更けるまで一気読みしてしまった。

六つの短編から成る本作は各話が繋がっていたりいなかったりする。

後味の悪いもの、背筋がぞくりとするもの、思わず笑ってしまうもの、心が温まるも

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