少なくともキャベツのお兄ちゃんは農家だった『フードインク』
やあ、僕だよ。
オーガニックだの有機野菜だのを扱うおしゃれなカフェランチは何であんなに量が少ないんだろうって貧乏学生の頃思ってた。
社会人になって嫌でも利潤追求が体に染みつくと、おのずとそういう社会構造なのだと調べなくても想像がつくようになる。
こと食の安全に関しては許容範囲が猫の額ほどしかない日本だから、未加工の食材を選べば極端に安価で危険な食材はあまりない(ほとんどの人が選ばないので本当に一部しかない)けれど、加工食品や外食はそりゃ多少はあるよね。
今回の一本は前々から観なきゃと思いながらずっと放置していた一本。
観終わった後の感情を処理するのにちょっと時間がかかりそう。とりあえず書いていくよ。
さあ、始めようか。
本作あらすじと感想
2011年公開の第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネートの、「激安で美味しいハンバーガーはどこからやってくるのか」に着目した映画。
オープニングから凝った演出。
こういう進行しながらのスタッフロールが僕は大好きだ(インディーズゲームでチュートリアルの背景オブジェクトにスタッフの名前が入っているとか、そういうやつ)。
大概尖った内容の作品にこういう凝ったオープニングが多い気がする。離脱者をなるべく少なくする狙いか、それとも力が入っているからオープニングも凝るのか。
いずれにしても凡そ予想のつく、不都合な話がこの後展開される。
ソファでくつろぎながら観ていた僕はその壮絶さに、たまらず夕飯の支度をし始めてしまった(まともに対峙するのがしんどかったのである)。
ながら見の中ですら、当時の食品業界の闇(今でも継続している事象ばかりだろうけれどここでは詳しく記載しない)を目の当たりにすると何とも心地の良いものではない。
「動物は食べ物じゃない!」までの極論にたどり着くことは無いが、切迫した「せっかく命をいただいてるのだからせめて美味しく無駄なくいただこう」の思いに駆られる。
これは畜産だけではなく、農業でも同様の感情が引き起こされる。
自らの身体を形作るもの、それを自分の意思で選ぶことの難しさ。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しとはいうが、では「遺伝子組み換え」や「家畜の足腰の弱さ」は過ぎたる事象だと断言出来るのか。
門外漢の僕には正直判断がつかなかった。
(砂糖とトウモロコシ使いすぎ問題、疫病の温床問題は早急に解決すべきだと個人的には思うがね。)
金融にしろ一次生産にしろ専門家でないと判断のつかない、でもすごく身近な問題は多々ある。
近年胡散臭い専門家は駆逐される傾向にあるようだけれど、それでも自分で判断しようとすると正しい情報収集が必要になってくるんだよなぁ。本当に、難しい問題だ。
僕はたこ焼き器を買いに行った
リビング兼寝室にする部屋にエアコン取り付ける問題で、僕の「やるべきこと」リストには「11月末までにエアコン買う」と書いてあった。
そんな僕を知ってか知らずか、夫がしきりに「たこ焼きが食べたい」と主張するので、家電通販サイトの巡回もそこそこに11月末のその日、家電量販店の実店舗に行った。
そうしたら、いくつかのサイト比較で目星をつけていた機種が台数限定でめちゃくちゃ安くなっているではないか!
安価な商品は概ねネットに軍配が上がるが、高価な商品(特に家電)は月末や決算末に実店舗の在庫次第で大幅値下げが決行されることはままある。
まさかこのタイミングで赤字特価のエアコンが放出されるとは。
しかしながら、「運が悪い」と評判の僕だ。
念のため在庫とセール期間を確認して一度家に持ち帰ろう。もしかすると今夜のサイト巡回でよりお得に購入できる可能性はないとは言い切れない。
それでたこ焼き器だけ購入し、タコパと洒落こんだのである。
僕はエアコンを買いに行った
たこ焼きでお腹いっぱいになった昨夜、僕は心行くまでサイトを巡回し、更には今日の午前9時、10時前後も巡回した(この辺りの時間に価格更新が行われることが多いと僕は信じている)。
さんざっぱら電卓を叩いた上で実店舗のエアコンが一番安いと結論付けた。
これまでの人生で、ここまで値段や機能を比較して家電を買うことなんてなかったから、結論が出た瞬間凄まじいカタルシスを得た。
なるほど。倹約家の気持ちがほんの少しだけ分かった気がした。
店舗に入るなり、近くのスタッフにエアコン購入を打診する。
流暢なヒアリングと態度に舌を巻く。久しぶりにまともな接客を受けると感動すら覚える。
いくつかの疑問を解消したのち、名刺を頂戴したが「副主任」と記載があった。
道理でパソコンコーナーにいたのにエアコンの接客も出来るわけである(なお、家電量販店によっては副~は複数人いる場合があり、スキルも人によったりするので一概に肩書がついていればよいというわけでもない)。
しかも標準工事以外の割引とキャッシュバックもあるらしい。
エアコンはプライス周辺にPOPが多く、案外値引きPOPを見逃しがちだ。嬉しい誤算に頭の中で電卓を叩く。最高、神かよこの店舗。
僕はキャベツ畑の側を歩いた
書類の準備に多少時間がかかり、店舗を出た時すでに時刻はお昼すぎだった。
予算より大分安く済むことになったので、出来たばかりのおしゃれカフェで昼食を取るべく、20分ほどのんびり歩く。
が、休み。
気を取り直して(新参者の癖にすぐ休む)カフェから徒歩10分の有名パン屋へ歩き出した。
実のところ、近くに美味しい定食屋があったのだが軽食の口になっていたのでそれに準ずるクオリティの高いものが食べたかったのだ。
が、こちらは完売。
さすが有名パン屋である。
レビューサイトを改めて見るとどうやら朝イチに始まり、昼前には大抵売り切れてしまう、僕が思うよりずっと有名なパン屋だったようだ。
いよいよ雲行きが怪しくなってきた。
最近幸せ続きだったおかげで忘れがちだが、そもそも僕は「運が悪い」らしいのでこんなことばかりの人生だった。
立て続けに店が閉まっていたのだから、こういう時は大人しく家に帰れという神のお告げなのだろう。
僕は残った冷やご飯でチーズたっぷりドリアを作る算段をつけた。今から帰れば一時間、14時前には家に帰りつく。
チーズとボロネーゼソースを頭に浮かべながら、だだっ広い農地の真ん中を真っすぐ歩く。
お茶、ネギ、じゃがいも、それにキャベツ。それなりに広大な畑で作業している農夫はごくごく少なく思える。
脇目も振らずキャベツの収穫をこなす農夫を見ると、僕よりずいぶん若いお兄ちゃんであった。
農業に携わる人々はおしなべて年齢層高めの方ばかりだと思い込んでいたので、社会人なりたての年代の若者が参加している姿は好感が持てた。
収穫を終えたキャベツ畑は大きな外葉が綺麗に残っていて見ていて飽きない。
そうやって眺めていると一つ、ぽつんと残っているキャベツを見つけた。
「キャベツ、これ取り忘れてませんか?」
とお兄ちゃんに声をかけるようなコミュ力は無く、無力な僕はキャベツを見つめるばかり。このキャベツを見ていたら何か大切なことを思い出しそうだ。
そうだ、そうだ。そうだった。キャベツを買わなければならないのだった。
昨日残った生地を使って夫がお好み焼きを作ると言っていたことをすんでのところで思い出し、スーパーに寄るため急いで僕は帰途についたのだった。
(ちなみにスーパーに寄れたが、キャベツは買い忘れた。)
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