愛せる場所で毎日生活する方法『かもめ食堂』
やあ、僕だよ。
今日はなんにもない一日だった。
無職だからなんにもないのは普通なのだけれど、外で仕事ばかりしていた僕にとっては今の方がずっといろんなことが起きる。
例えば昨日だって一昨日だって仕事上の人格を被らず、僕は人に会った。そんなことは夫以外でここ10年ない。
8月に妊娠が発覚してから、家事をほとんどやってこなかった僕が一切合切家を管理しなければならない事実におののいた。
けれどもどうにか形にしようと試行錯誤している。
トライアンドエラー。
「はじめてやること」を「いつもやること」に馴染ませる、刺激的な毎日。それが今の、僕の毎日だ。
今日の一本は「なんにもない一日記念日」に観たいなと思ったやつなんだ。
ささ、今日も始めるよ。楽しんでくれると嬉しいな。
映画あらすじと感想
『かもめ食堂』荻上直子
「サチエ」はヘルシンキでお客さんの来ない「かもめ食堂」をやっている。待望のお客さん第一号が来たことでゆっくりと街に馴染んでいき、次第に地元の人の食堂へとなっていく。そんな話だ。
食事にまつわるシーンに力を入れすぎるのは邦画の悪いところであり、また良いところでもある。
僕はこの映画の食事が大好きだ。シナモンロールがとてつもなく食べたい。
群ようこ氏原作に、小林聡美ともたいまさこ、そこに丁寧な生活が似合いそうな俳優が加わると荻上直子氏の作品になる。
どの作品も少しずつ違うけれど、でも絶対裏切らない。僕が一番憧れる、最も遠い世界がいつもそこにある。
僕ももたいまさこが手伝ってる食堂に行って、「ゆっくりして行ってくださいね」って言われたい。
あーフィンランド行きたいなぁ。
鮭とイケアが好き
北欧は案外、僕と縁があるなと思う。
「夫と一緒に生活するかも」と思ったのはフィンランドのオーロラを映したプラネタリウムだった。
僕が学生時代過ごしていた場所には何故かムーミンがたくさんいたし、ムーミンバレーパークも僕の家から近い。
何より森が近く、怒らない人ばかりだ。
実家周辺は工業地帯で不機嫌な人ばかりが周りにいたから、家を出てから徐々に北欧が僕を侵食してきたと言える。
母がこちらに来る時、道が狭いだの森が近すぎて治安が悪いだの文句ばかり言う。
きっとそれはあまりに空気が違うから、居心地が悪いんだろうと思う。
この地域でずっと暮らしたい
利便性で言えば妹や実家近くの方がいいのだろうと思うけれど、この街を離れてまで実現することではない(それに、距離が少々あるから上手くいっているとも言える)。
徒歩圏内に森がいくつもあって、海はないけれど湖や山はあって、イケアが近くて、怒りの少ないこの地域が好きだ。
最初、まとまったお金が出来たらすぐに引っ越す予定だったのについに家を探し始めた。
僕らが家に求める多くない条件を満たすものは全国にたくさんあるが、同じ街に住もうとするとなかなか見つからないものだ。
この街に住む前の僕なら即断即決、待つなんてどだい無理な話でスペック重視ですぐに購入していただろう。
この街を離れるくらいなら、今の僕はいくらでも待つことが出来る。
それくらい僕はこの街を愛している。
肌に合う人が住んでいる土地はきっと馴染む
他の人より優しいとか、賢いとか、育ちが良いとか、顔が良いとか、そういうステータスでないところで好感を持てる人がいる。
特筆して優良とも言えないのになんとなく好きになる人。そういう人が多い地域が自分に合ってる地域なのかなと思う。
僕は旅行をほとんどしないけれど、新しい場所に辿り着くとスーパーでの会話や家の様子、道の流れを見てしまう。
短期滞在に向いているけれど、住むには微妙だなってところ結構あるだろう。あれに理由を付けたくなるのだ。
そうして出した結論が、人が合えば土地も合うということ。
僕は今、そういう土地に住んでいる。
ピーマンや春菊をもらう
来店二回目の喫茶店でピーマンを貰った。
たまに行く八百屋で春菊を貰った。
初めて行った飲み屋で芋煮会に誘われたり、チェーン店なのにマニュアル外の接客を受ける。
これがすごくさりげなく行われる。ごくごく自然に、静かにささやかに行われるのでその時は気づかないくらいだ。
親切の度合いが行き過ぎない(行き過ぎてるのかもしれないけれど僕はそれに気づけない)から、プライベート限定コミュ障な僕もそれを素直に受け取れる。
まだスムーズに話すのは難しいが、ちゃんと待ってくれる(あるいは無視して話し続けてくれる)のでいつか僕もこの地域の人たちみたいに話せるようになれる気がする。
そうして最後は、ここに骨を埋められれば幸せだなあと思うのだ。
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