僕らが結婚式をしなかった理由『blanc』
やあ、僕だよ。
昨日12時間ほぼ喋りっぱなしだったから喉がガラガラだよ。
久しぶりに会った友だちはそれぞれ、色んなことが進んだり変わらなかったりして、話題が尽きることはなかった。それでこのザマさ。
第6波が来なければ、来月にも引っ越す友だちを手伝う予定なんだ。
雑事なんて、何年ぶりにやるかな。
これくらいの余裕があると人生ってちゃんと幸せなんだね。僕知らなかったよ。
さて、そんな幸せ気分に拍車をかけるこちらの一冊。アニメイトで新刊を見つけて遅ればせながら買ったもの。
今日は「結婚で幸せになったか」あるいは「結婚式や指輪って必要か」、「夫好きすぎる件」について書いていくね。
じゃあ、始めようか。
本作あらすじと感想
『blanc』中村明日美子
『同級生』シリーズ最終章。紆余曲折あった「草壁」くんと「佐条」くんが20歳になった時、彼ら自身の関係に答えを出す話。
これはもはやBLという枠で語っていいのかわからない。
だってごくごく普通の、一般的な、結婚を巡る話なんだもの。
「こわいんだよ、人を自分の人生にひっぱり込んでそれで、あいつが変な目で見られたり、何かを失ったり、傷つくようなことがあったら、全部僕のせいだ。だからもう、」
「でもそういうもんちゃうの結婚するて」
「好きってやさしくてあったかいよ。こわいことなんかいっこもあらへんよ。ありがとぉ、うれしいって、それだけやん。なあ?」
「どっちが悪いとかじゃねえんだ。これからもずっと一緒にいたかったら、どうしたらいいかってことなんだよ」
「ヨメがまだ帰ってきてなくてさー。終電も逃がしちゃってアレなんだけど、今夜泊めてくんねーかなって…」
「なにしてんだよこんなとこで」
「エ」
「なにしてんだよこんなとこで!!タクシーでもなんでもぶっとばして会いにいけよ!!くだんねー意地はってる場合じゃねえだろが、土下座でもなんでも向こうが引くぐらいガンガン泣いて、けられてもツバくらってもかじりついてもう一回やり直してくれって、お願いしろよ!!そんじゃなかったら、まじでもう、一生…」
「…ちょっとわがまま言っていい?」
「は」
「私ねぇ…草壁くんの選んだ音楽が聴きたいわ」
(好きだよ、好きだ、こんなに好きなのに、好きだ)
「よそよそしいっていうか…今思えば、私に何か後ろめたい気持ちがあったのかもしれないわね。そんな気持ち、持たなくてもいいのにね。でもだから、ずっとそんな感じだったわ。草壁くんに出会ってからなのよ、あの子がまたあんなふうに笑うようになったの。あなたに会えて…あの子は本当によかった。間違いなく、あの子にとってあなたは一番大切な人よ」
「なんにも間違ってなかったのね。利人があなたを好きになって、よかった。私も草壁くんが大好きよ」
「籍を一緒にするの延期しようって言われたとき、あの日の約束がなかったことにされたような気がしたんだ。それだけなんだ、それだけで、僕は…」
「…ごめん、ごめんね、」
「ううん」
「ごめん、ごめん、ごめんね」
「…何をしてる」
「僕たち結婚します」
「結婚しよう……アレ?」
「どうやって?どういうかたちで?…僕もいろいろ考えたけど…人によってそれぞれだし…いろんなかたちがあって…何が正解かわからないし、何が、自分に…自分たちにぴったりくるのかわからない」
「結婚式しようよ、よくない?」
「…招んでも来ないよ」
「…来るか来ないかじゃなくて、来てもらいたいかどうかじゃない?ね」
「肝心なことをなかなか言わないでしょう、彼は。自分の中で確信するまで絶対人に言わないんだよね…それがこないだ急に帰ってきたと思ったら、一緒になりたい人がいると言うからね。ああ、これはもう、決めてきたんだなって」
「おめでとう。それと、ありがとうね」
「ああ、一緒になったんだなって」
「…ポジティブ…」
「そうだよ、だって今日は人生で一番幸せな日だもん」
これで分かってくれるだろうか。
いやもう、分かれ!
分かってください…この先の話も少々関係がありますので…ほんと…お願いします…
変なこだわりとプライドと反抗心云々
次の更新で同棲して8年になった頃。
僕は夫(当時は彼氏だが夫表記とする)の内助の功でようやく外も中も上手く回ってきて、だからこそ夫のことを説明する時の面倒くささに辟易していた。
単に飾り気なく、長く同棲していると公言すると「何で結婚しないの?」の空気が一瞬流れる。
僕は、(僕の性質からすると異様なほど)法を犯す行為に怯えている節がある。
籍を入れていない内の浮気は全然良いのだが、不倫は生理的に無理なのだ。だから一番が夫だけになるのが怖かった。
微妙なお年頃の僕は「余計なお世話だ」と言外にその態度を批判し、突っぱねていた。
「事実婚」などと表現されるのが一番嫌だった。実際、そうだったにもかかわらず、だ。
冒頭の状況になったことでだんだん、突っぱねることの無意味さと面倒くささ(「何で結婚しないの?」の空気は変わらず嫌いだった)が気になるようになってきていた。
2020年(令和2年)2月22日の2か月前
僕は事あるごとに「最初は同棲一年か二年で答え出すって言ってたじゃん」と自分のことを棚に上げ(実際その時に言われてたら別れていた絶対)、結婚お願いお願いモードになっていた。
この僕が、アラサー向けファッション雑誌のコラムなんぞ読んで「彼にプロポーズされるには」だのを一日中読んでいた。
これ見よがしに『ゼクシィ』でも買ってやろうかと思ったが、それはあまりに暴力的過ぎるのでやめた。
一通りお願いすると、何となく「結婚」の話題に飽きて(僕は飽き性だからね)、またいつも通りに生活するようになった。
よくよく考えたら僕が単に面倒なだけで夫に苗字を変えてもらうわけだから、そんなに急ぐことでもあるまいと冷静さを取り戻したのだ。
冷静さを取り戻してから一週間、風呂の中で夫に「籍入れよ」と言われた。
「え」
「何で驚いてんの、お前が言ってきたんじゃん」
「いや、もういいかって思ったんだよ」
「もういいの?よくないでしょ」
「まあ、確かに、よくはないね。でも、待て待て」
「待ったら、しばらく籍入れないと思う」
「マジかよお前ほんとわがままか」
夫があの頃を振り返ると必ず、僕が風呂場で泣いているように見えたと言う。僕は何度も否定するのだが、絶対にそうだというのだ。
僕は彼の複雑な心境が生み出した認知の歪みだと思うのだが、僕の、自身に対する認識の相違の可能性も否定は出来ないので一旦この件は保留とする。
2020年(令和2年)2月22日の22時
夫の出自が曖昧なおかげで戸籍謄本を取得するのに少々手間取ったのと、両親に会うのが面倒で先延ばしにしたのと諸々あり、かなりギリギリだった。
ちなみに僕らの結婚記念日は近日で一番覚えやすいもの(忘れるから)にした。
日付も重要だが、年も重要だった。年号はただのラッキーだった。
本当は21日の深夜に出す予定だったのだが、何か用事があって当日、僕の仕事が終わった後に提出したので不備があったら結婚諦めようと二人で話していた。
ちなみにその日職場に連絡もした。「今日出しに行きます。苗字変わらないですし、保険も別々なので何も手続き必要ないです」と上司に伝えたら三十分くらい説教を食らった。
結婚を控えているみんなは事前に職場に伝えるんだぞ!
僕らの結婚のかたちは
「籍と苗字を一緒にしたい」だった。
僕らは幾度も繰り返される「何で結婚しないの?」の空気にうんざりしていたし、実際そこから妙な話になって時間を浪費するのも馬鹿馬鹿しかった。
そしてこれが一番大きいのだけれど、長い時間をかけて、「結婚」が僕らの思うような枷でないことを理解した。
単純に一緒にいるなら「結婚」した方が楽だし、一緒にいられないなら「離婚」したらいい。
制度的に有利だし、何より堂々と家族然としていられる。
同棲中に夫が救急車で運ばれた時、「奥さんですか?」という質問に僕は一瞬戸惑った。
大げさかもしれないが、もしもあの一瞬の戸惑いで夫が手遅れになっていたら、どうしただろう。
そういうことの積み重ねで夫が死ぬのは絶対だめだと思った。僕はきっと僕を許せない。
そして僕らは目的を達成したので、結婚式も指輪もなしだ。たまにしか付けないペアリングで事足りている。
今のところ、特に意味を見出せない。見出したらすると思うけれど、今のところ考えていない。僕ら友だち少ないしね。
親友で恋人で兄妹で夫婦で家族だ
夫がどう思っているか分からないが、僕はそう思っている。
しかしこの間、複雑な出自の過去について少しずつ整理している夫が嫌なことを思い出したというので聞き出したが、断片的にしか教えてもらえなかった。
親友や恋人や兄妹や夫婦や家族でも、言いたくないことはあるさ。
僕もヘビーな過去を軽んじる傾向があるから、それを修正しつつ気長に待つことにしよう。
…僕、夫について書きすぎじゃなかろうか。
でもさ、仕方ないんだよ。「好きだよ、好きだ、こんなに好きなのに、好きだ」って思ってるからね、僕は。
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