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あんこう鍋@舟武

近所にある「釣り魚の店舟武」は大将が先代の頃から年に数回、家族で通っていた店だ。釣り好きの大将が営むだけあって、店内には艪が飾られ、とれとれピチピチの魚を中心としたその日のメニューが黒板一杯に書かれている。酒の飲めない亡父も、酒は私ほどではないが嗜む亡母も、アル中になって酒を飲めない薬を服用するようになった亡弟も、母の誕生日である12月14日(赤穂浪士討ち入りの日)前後に年数回しかない全員揃っての食事を楽しんだものだった。その間に大将は代わったけど、釣り好きで産地直送の魚を提供してくれるところは変わらない。

大正生まれだった父が先に逝き、7年前に弟と母を次々と失った後、舟武で食べる機会が少なくなった。が、気の措けない友人たちを「旗の台の名店」に誘うことができる機会を見つけては、ここの刺身に舌鼓を打ち、様々な日本酒を楽しませてもらっている。

昨年末に一緒にあんこう鍋を食べた近所の同窓3人でまた食べようということになった。うち一人の息子さんも合流。

まず3人前の盛り合わせ(と頼んでも4切れずつ出してくれる大将、太っ腹)。

刺身盛り合わせ

手前左の「なめろう」は舟武自慢のマストな一品。味噌仕立ての鯵叩きは新鮮な鯵の旨みと味噌と生姜と葱が混然一体となってクリーミー。さらに、トビウオ、マグロ、鰹、オジサン、サワラ、ぶりをそれぞれ好みで生姜醤油やワサビ醤油で。どれを食べても新鮮なプリプリの身が、それぞれの魚の特徴をワイルドに伝えてくれる。



アンコウ鍋

続いてアンコウ鍋。確か2人前で頼んだと思うけど、盛りがよい。たっぷりの鮟鱇の身と皮と肝、豆腐、葱、白菜、マロニーなどを味噌味で。灰汁を掬いながら身に火が通るのを待ち、銘々のとんすいに。「味噌だしは一人一杯まで」と私が宣言。なぜなら雑炊がこの鍋の一番美味しいところだからだ。もちろんゼラチン質たっぷりの鮟鱇の身や野菜もハフハフしながらいただくけど、雑炊のためにお腹を少し空けておかねば。

アンコウ鍋の〆のおじや

おじや、雑炊、どちらでもいいと思うけどたぶんおじや。たっぷりの鮟鱇の旨みと溶き卵とご飯が混然一体となった和風リゾットの旨さよ。

今年も3人揃って+息子さんも合流して年忘れの食事ができたことを喜ぶ。そして大将、いつもありがとう。

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