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スペイン戦は壮大な越前家の因果の果てなのか!?越前リョーガの行動目的と平等院の発言の真意を考察

3月号が発表されてから最近ずっと越前家のことばかりを考えているのですが、やはり私の中でどんどん「南次郎には双子の兄がいて、そいつの息子がリョーガ」という説が濃厚になっています。
その双子の兄がスペイン代表の監督だとして語られていない部分を想像(妄想)していくと、これまでバラバラに点在していた要素が綺麗な一本の線で結ばれていることに気づくのです。
何なら「テニスの王子様」も「新テニスの王子様」も全ては越前家の物語を軸として全てが構成されていたのではないかとさえ思える程であり、身の毛がよだちます。
あまりにも綺麗にまとまり過ぎるのですが、この仮説をもとに考察していくと大奥もビックリな陰謀が越前家には存在していることになるでしょう。

今回はスペイン戦を越前家のことを中心に考察していきますが、途中で他作品のネタを挟みますので、そちらの作品を未見の方にもご理解いただけるよう配慮は致します。
ただ、それを踏まえても今回の話は些か陰謀論めいており、私の想像(妄想)を多分に含んでおり、決してこれが正解だなどというつもりは毛頭ありません
外れている可能性も全然ありますし、許斐先生は読者の想像なんて嘲笑うかのように斜め上のはるか先を行かれる方なので、保証は一切できないことをご了承ください。
それではどうぞ。

越前家はテニスにおける「陰陽」ではないか?


まず結論からいえば越前家はテニス界における陰陽思想、つまり圧倒的な「陽」と同時に究極の「陰」すらも生み出してしまった家系と言えるかもしれません。
先日の記事で「南次郎には双子の兄が居て、そいつがスペインの監督にしてリョーガの実父ではないか?」ということをチラッと書きましたが、そう考えると越前家は実にとんでもない家系です。
かたや世界で名を馳せた伝説の「サムライ南次郎」とその息子である「王子様」にして「希望」の象徴で「天衣無縫」な越前リョーマはこの世界における徹底した「陽」なのでしょう。
そしてかたやスペイン監督とその息子であるリョーガは「チームを破壊するトリガー」にして「能力剥奪」として恐れられている徹底した「陰」だったとしたら、面白い設定です。

このように私は考えるのも根拠が実はあって、相当古い作品になりますが私が気に入っている車田正美先生の初期の傑作「リングにかけろ」の剣崎順とその双子の弟・影道殉がそんな設定でした。
剣崎家に双子が生まれた時、兄の順が正当な嫡子として育てられ、弟の殉は忌み子として影道家の養子に出されて日向を歩むことができないという数奇な運命を辿っているのです。
許斐先生はジャンプ漫画大好きっ子でもあるので、当然車田先生の作品もきちんと熟読した上でその設定をきちんとオマージュしているでしょうから、越前家は剣崎家のオマージュとも取れます。
だからサムライ南次郎の陰として生まれたリョーガの父が幼少期に越前家から追放されてどこかの養子に出され、ずっとテニス界で日向を歩めない人生を歩んでいたであろうことは想像に難くありません。

そしてリョーガはそんな呪われた忌み子の父の業を受け継ぎ、テニスを愛しリョーマ以上の才能を持ちながら決して表日向を歩くことができないことを幼少期から宿命づけられていたのでしょう。
なにせあのサムライ南次郎から幼少期に「リョーマが一端のテニス選手になるまでは真剣勝負は絶対にするな」と釘を刺されたこともその表れだったといえます。
後述する能力剥奪のことだけではなく、あらゆるテニスを肯定する南次郎ですら危険視する禁忌の存在として生まれてきたのが越前リョーガだったのです。
テニスの神様はとても慈悲深いと同時にとても残酷でもあり、片方に「天衣無縫」を与え片方に「能力剥奪」を与えるというとんでもないことをしました。

はっきり言って「NARUTO」のうちは一族や日向一族もビックリの業が越前家には存在していて、テニスの神様は越前家にテニスの「祝福」と同時に「呪い」をも与えていたのです。
それこそが正に中国の陰陽思想、すなわち「1つのものが2つに分かれる」の表れであり、越前家においてそれはリョーマとリョーガという一対の存在として描かれています。
許斐先生は仏教やキリスト教、さらにはドイツ哲学など思想・哲学にすごく深い造詣をお持ちの作家ですから、この辺のこともきちんと勉強なさった上で盛り込んでいるのでしょう。
そう考えると、許斐先生は越前家に凄まじいハードルを背負わせたなと、これが事実だったとしたらとんでもなくヘビーな設定です。

リョーガがリョーマの元に送り込まれたのは監督の差し金か?


そのように考えるとリョーガがリョーマの元に送り込まれたのはもしかするとリョーガの父=スペイン監督の差し金というか遠大なる陰謀であったと考えることができます。
そもそもリョーマとリョーガの幼少期のエピソードからして不可解な点が多く、ところどころ引っかかるキーワードが散りばめられているのです。
中でも気になるのは南次郎の「血が繫がっていることに変わりはない」やリョーガが最終的に弁護士を立てて叔母の元に預けられることになったということでしょう。
この弁護士が誰なのかも説明されていませんし、リョーマとリョーガが「血が繋がっている」ことの意味も全ては越前家を追い出されたスペイン監督の陰謀と考えると納得できます。

監督はリョーガを越前家にスパイとして送り込み、後述する能力剥奪を用いてサムライ南次郎および息子のリョーマのテニスをリョーガに剥奪させようとしたのではないでしょうか。
幼少期のリョーガは当然そんなことを知らずにリョーマと楽しくテニスをしていたわけで、しかしそんな中で南次郎はリョーガのテニスの危険性を見破っていました。
そこで南次郎は「リョーマが一端のテニス選手になるまでは真剣勝負は絶対にするな」と釘を刺しますが、この時点で監督の陰謀は失敗に終わったのです。
そうなるとリョーガが越前家に居る意味はなくなりますから監督が再びリョーガを引き取ろうとしますが、そうなるとリョーガは監督のところに逆戻りとなります。

リョーガが監督の元に戻ったところで待ち受けて居るのはおそらく毒親である監督の歪んだ教育であり、それだけは阻止せねばならなかったのでしょう。
弁護士を立てて叔母の元に預けたと言いますが、その弁護士は南次郎の妻・倫子だった可能性があります、何せ倫子は若い頃弁護士を目指していましたので。
これによって最悪のルートは一旦避けられましたが、このように考えるとあの意味不明だった幼少期のリョーマとリョーガの不可解な点に説明がつきます。
そしてそれはリョーマが天衣無縫に覚醒する上で足枷になってしまうトラウマになるに違いなく、だから全国大会決勝前にリョーマは一旦記憶喪失になったのでしょう。

リョーマが天衣無縫になるに際して記憶喪失になり、バラバラになった記憶をライバルとの再戦で思い出しつつ、最後は幼少期のテニスが好きだった頃の原点まで行き着きます。
しかし、ここでリョーマはリョーガとの思い出だけがすっぽりと欠落してしまっているのですが、もしリョーガとの思い出まであの時に取り戻していたら天衣無縫に覚醒できなかったでしょう。
天衣無縫は「テニスを楽しむ」という圧倒的な幸福感があって初めて成立するものであり、そこに唯一のトラウマであるリョーガの記憶があったらリョーマは進化できません。
このように考えると、旧作は本当に越前リョーマと父親の南次郎にとって都合よく天衣無縫に覚醒するルートが舗装されていたといえるのではないでしょうか。

新テニで描かれたリョーガの意味不明な行動の数々はスパイ行為?


上記の考察を踏まえ、今度は「新テニ」におけるリョーガの意味不明な構造の数々を分析して行くと、実はリョーガの行動もまたスペイン監督の差し金だったのかもしれません。
「テニプリ」においては北海道の寿葉のような善人の振りしたスパイがいましたが、リョーガもまたスペインが日本代表に送り込んだスパイだったと考えられます。
最新号で中一の仮面チビ・セダがアラメノマを用いて洗脳実験を行い、金太郎と忍足以外のリョーマと桃城を洗脳で潰そうとしましたが、リョーガの行動も実はセダと似ているでしょう。
特に平等院に向かって光る打球を打ち返す行為は表向きリョーマと徳川を救うためとなっていますが、真の目的は能力剥奪で平等院を弱体化させることにあったと思われます。

その後もリョーガは合宿退去となったリョーマをアメリカ代表に誘って一緒のチームで戦ったり、かと思えばリョーマがアメリカを去ったのと同時にスペイン代表へ戻っていました。
この辺りのリョーガの行動目的は意味不明ですが、作者の許斐先生が「リョーマがスペインに移籍していた可能性がある」という旨の発言をしたらしいことを考えると、意図が読み解けます。
リョーガは監督の意向が半分、そしてもう半分は惜しみないリョーマへの兄弟愛からリョーマを元々スペイン側へ勧誘し、決勝でドイツか日本を叩き潰すつもりだったのでしょう。
しかしリョーマが日本へ帰国するという想定外が起こったためにアメリカチームに留まる理由がなくなり、元々いたスペイン代表へ強制送還になったと考えられます。

何ともゾッとするような話ですが、これが今まで露見しなかったのはリョーガがリョーマの兄であること、そしてリョーマがリョーガとの記憶を喪失していたことが重なったお陰です。
越前リョーマは聡明で悪意に敏感ですから、もしリョーガがスパイ行為で日本に送られていたことを察知したらうまくそれを跳ね除けたかもしれませんが、それができませんでした。
またそれ故にリョーマはセダの洗脳にもかかって精神崩壊しかけていたわけであり、旧作の時には「お約束」で守られていたリョーマの主人公補正が新テニでは割と裏目に出ています。
このように考えていくと、許斐先生は越前親子の、特に旧作で散々暴れていたサムライ南次郎と息子のリョーマに物語のツケを代償として払わせようとしているようです。

そもそもリョーガがW杯に参加していること自体も多分に謎であり、これ自体がそもそもリョーガの意思なのかどうかすらもわかりません。
しかしこれがスペイン監督の差し金でそうせざるを得なかったと考えれば、リョーガの謎に包まれた行動の数々の意図にも全て説明がつきます。
南次郎に向かって「強さの秘密を教えてくれ。でなきゃアンタからテニスを奪う」と脅迫じみたことを言ったのも自分の意思ではないはずです。
そのように考えていくと、リョーガもあの飄々とした性格とリョーマ以上のクールな顔の裏で、兄弟愛と毒親の指示の間で揺れていたことが窺えます。

どんどん陰謀論めいてきましたが、いまの時点でもリョーガの精神は相当に疲弊しきっている筈です。

リョーガの能力剥奪が自分の意思でどうにもできないのは遺伝的な能力だから


そんなスパイ行為を繰り返していたと思しき越前リョーガの能力剥奪が自分の意思ではどうにもならないのは、これ自体がそもそも遺伝的な能力だからではないでしょうか。
言ってみればうちは一族の写輪眼や日向一族の白眼などのような血継限界で、自分の意思でそれをコントロールすることができない「呪い」のようなものです。
そしてその力はスペイン監督が持っていたものであり、リョーガに一子相伝のような形で伝わったものであり、だから生まれた時点でリョーガは自身の能力に呪縛されていたことになります。
そう考えると、ラインハートが言っていた「アメリカを去ったのはチームを壊さないようにするため」というのも半分は間違いではないでしょう。

こちらの動画ではリョーガが能力剥奪を捨てたがっているとの仮説を考察していますが、リョーガの心情を考えるとこの説も正しいとは思います。
しかし捨てようと思って簡単に捨てることができず、だからリョーガとしては「大人しく引き下がってくれ」とラインハートに言うことしかできません。
そしてリョーマに対しても「テニスを失うぜ」とぶっきらぼうな警告のようにしてしか言うことができず、リョーガの精神はもうここまでで限界にきています。
最新号を見る限りでもスペインの連中からは「恩を仇で返す」だの「信用できるのか?」だの散々な言われようですから、スペイン代表でも浮いているのです。

だから仮にリョーマと対戦しても、リョーガの能力剥奪そのものが消えることはないのでしょう、幸村の五感剥奪や赤也の悪魔化が消えないのと同じで。
幸村の五感剥奪や赤也の悪魔化は対戦相手が何とか対策を取れますが、越前リョーガの能力剥奪は一旦喰らってしまったらそれを元に戻す術はいまのところ無いでしょう。
リョーガもそれを重々承知だからこそ、テニスが好きでありながら真剣勝負に踏み切れないし、真剣勝負ができる弟のリョーマが眩く映っている筈です。
フランス戦での「真剣勝負やってんじゃねえか、チビ助」の一言はそう考えるととてつもなく重みのある台詞ではないでしょうか。

アマデウスの「闇」なんてまだ常識的なもので、無没識があれば対応できますが、リョーガの能力剥奪は阿修羅の神道ですらも対抗できません
対抗できるようだったら、平等院鳳凰ほどの人が「あいつの打球はチームを破壊するトリガーだ。危険すぎる」なんてことを言わないでしょう。
ラインハートがボコボコにやられていましたが、おそらく平等院やボルクが相手だったとしてもリョーガに能力を喰われておしまいかもしれないのです。
だから、リョーガはその存在自体がテニス界を破滅させてしまいかねない、まさに新テニどころかテニプリ界の究極のアンチテーゼにして最大の「陰」ではないでしょうか。

平等院がリョーガを危険視しながらもリョーマに日本を託した理由


ここでまとめに入りますが、そんなリョーガを平等院が危険視しながらもそのことをリョーマに伝え、ドイツ戦の S1でリョーマに日本を託した理由は何でしょうか?
色々考えられますが、これまでの考察を踏まえると越前リョーガの能力剥奪の唯一の抑止力となるのが越前リョーマだからだと考えられます。
最初に越前家は「陰陽」であると書きましたが、属性的な相性も含めてリョーガに唯一立ち向かえるのはリョーガの片割れである越前リョーマしかいません
彼にしかリョーガは救えないし、平等院もまたそんなリョーマの可能性に期待を込めて日本を託したのだということが窺えます。

そもそも平等院自体が「滅びよ、そして蘇れ」を繰り返した先に「阿頼耶識」という第八識へ到達しましたが、この段階になると潜在的な部分まで見えるようになるそうです。
つまり平等院はボルクとの戦いの中で宇宙の真理のようなものまで見え、そこで徳川とリョーマが日本をW杯優勝へ導く絵が見えたのかもしれません。
直接の描写がないにしても初見でリョーガのテニスの本質を見破った男ですから、リョーマがリョーガへの抑止力だとわかっても不思議ではないでしょう。
越前リョーマなら、破壊を希望に変えてあらゆるテニスを肯定できる越前リョーマなら、越前リョーガを救えるかもしれないと平等院は踏んだのだと思われます。

なんかえらく話が長く壮大になってしまいましたが、もし許斐先生が越前家の物語を最終的にこの方向に持って行こうとするのならば、どうなるかが見ものです。
ちょうど現在YouTubeで配信中の「五星戦隊ダイレンジャー」が陰陽の話をやっていますし、古今東西この陰陽のモチーフはあらゆる作品で用いられていますからね。
まあ真相はわかりませんしだいぶ無理のあるでっち上げではありますが、何となく私の中で越前家の物語は親の代から始まっていたのではないかと思います。
それも見越しての「リョーマ!」公開だったとしたら、許斐先生は相当に策士ですし、リョーガが本当に救われて欲しいと切に願うばかりです。


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