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不二周助が最後に見せた「狐火球」とはどんな原理の技なのか?越前が本当に打ち返すことは不可能なのか?

越前リョーマが「試合に勝って勝負に負けた」と言われる不二との試合で最後に不二周助は新たなる風の攻撃技「狐火球」を披露しました。
最後は一陣の風によりアウトになってしまったこの技ですが、そもそもどのような原理で成り立っており、なぜ越前は初見で返せなかったのでしょうか?
また、こんな凄い技を取っておくのであればマッチポイントの段階で出しても良かったと思いますが、何故そうしなかったのかも考えてみましょう。
今まで不二の風の攻撃技は「光風」を除けば大体は返球可能なものだったので、何とか対応することはできるのではないかと思います。

というより、そもそも不二の「風の攻撃技(クリティカルウインド)」がどんな技であるのか、何を意識して作られたのかから考えてみましょう。
風の攻撃技が最初に出てきたのはプレW杯のドイツ戦、デューク渡邊と組んだダブルスで初めて登場したのであり、不二周助はこの時「守るだけのテニスは辞めた」と語っています。
そして3つの誓いのうちの1つ目を宣言したわけですが、思えば「攻めのテニス」を不二が覚えたのはここが原点だったわけであり、それまでは「守り」のテニスでした。
相手が打ってきた打球に対してどうやって「返せない打球で返すか」が不二周助のカウンターだったわけですが、この「風の攻撃技」はそれとは逆のことをしています。

次に跡部様と組んだダブルスで見せたのが2つ目の風の攻撃技「光風」だったわけであり、これは天衣無縫の異次元のスピードに対応するための技でした。
こちらの技の仕組みは乾が解説しているように頭脳の働きを活性化させ、その上で脳から体への伝達速度を限りなくゼロ秒に近づけることで反射神経を極限まで高めています。
不二の試合は基本的に「スピードを必要としない」と新テニの10.5に書かれているため、例えば菊丸・神尾・謙也のように物理的なスピードを高めるのとは違うのでしょう。
スピード特化型のプレイヤーは身を軽くして空気抵抗を少なくし、また普段は足にパワーアンクルを装着することで物理的なスピードを高めています。

また、光風がもう1つ優れている点は「予測」「予感」をしていないところにあり、これが同じ頭脳活性型の「才気煥発の極み」やデータテニスとの違いでもあるのでしょう。
三津谷あくと・柳蓮二・乾貞治のデータテニスは統計学を用いた過去の経験則に基づく演算型のテニスですが、本番では意外に役に立たないことも多いのです。
越前リョーマが「データで来るならその上を行くまでだね」というように、選手の強さは試合の中でも変化するため事前に得ているデータは簡単に上書きされます。
「リングにかけろ」でも同じデータボクシングをやったドイツ相手に香取石松が「頭でボクシングに勝てるなら東大出たやつはみんな喧嘩が強えってことになるぜ」と言ってましたね。

これに対して才気煥発の極みは事前に打つ打球のコースや威力などを含めて脳でシミュレーションすることで最短何球で決まるかを予言して、その通りに決めるというものです。
ただ、これもやはり真田の「陰」や幸村の五感剥奪など闇属性の強いテニスの前には負けてしまうため、ニュータイプのような閃きにも限界があります。
不二はそれらを学習した上で来た打球を素直に返す「心の瞳」と天衣無縫の圧倒的なスピードに対応するために「脳の伝達速度を光速レベルに高める」ことを考えたのです。
こうすればいちいち予測せずとも天衣無縫の極みの超スピードに対応することができたわけであり、不二の中の仮想敵はやはり手塚国光だったのでしょう。

思えばカウンターにしても風の攻撃技にしても常に手塚国光を仮想敵として生み出されたものであることがわかるわけであり、思えば天衣無縫の時も越前に手塚を重ねていましたね。
私は正直ここちょっとムカついたところで、真田にしても跡部にしても、そして今回の不二にしても何故越前を相手にした強者は彼を「手塚国光の代理・下位互換」と見做すのでしょうか?
そうやって対戦相手に何者かの面影を重ねることは私は相手の本質をきちんと見ていないという点で凄く嫌で、特に跡部様の「ここでも邪魔するのか手塚!」と言い出した時は流石に反論したくなりました。
「いやお前が今相手してるのは手塚国光じゃなくて越前リョーマだ!本質を見誤るなボケ!」と言いたくなりましたし、不二も越前との試合中に手塚のことを考えていて失礼だと思ったものです。

そうやって越前に手塚を重ねた相手は悉く負けているのですが、不二はその後全てのカウンターを返して追い上げて来た越前を見て初めて越前に脅威を感じて越前自身を認めます。
その上で初めて対越前リョーマに繰り出したこの「狐火球」ですが、これもよくよく考えればドイツ戦の手塚VS幸村で編み出した「至高のゾーン(アルティメット)」への対抗策といえそうです。
で、その狐火球は「わずかな風圧でも羽根のように舞ってしまう為絶対に打てない」という物理の究極のセオリーを体現した技ですが、あの暗闇の映像などから「光る打球」の不二バージョンなのかなと思います。
不二の「風の攻撃技」って対手塚国光、対天衣無縫というだけではなく、「阿修羅の神道」で使われている技を不二が独自に昇華したらこうなるのではないか?という翻案でしょう。

例えば光風は亜久津が見せた「無没識」を不二がリスクなしで体現した技でしょうし、「狐火球」も光る打球を不二が打つとこうなったという感じです。
おそらくあの球はスーパースイートスポットに当て、風圧で動いてしまいながらも人が絶対に打ち返すことができない打球として使われています。
技の着想がどこから思いついたかというと、1つ目が大和部長が手塚に使っていた「幻夢夢現」であり、これは手塚ファントムでアウトにするしか対応策がありませんでした。
なのでそこそこ有効であることがわかりますが、2つ目は越前が出した「光る打球(ホープ)」でボースを光速状態で包み込み凄まじい破壊力を生み出す打球です。

そして3つ目が上記の「至高のゾーン」であり、手塚はあそこで複合回転を生み出すことでゾーンにもファントムにもできる最強のゾーンの究極系を編み出しました。
つまり球の回転を操る防御技としてあれ以上のものを生み出すことはできないので、どうするかというと「そもそも物理的に打てない球を作ればいい」となったわけです。
そこに蜉蝣包みで使われていた「追いつくことができない打球」も組み合わせて完成した、現時点で不二が誇る技の中では最高級の技といえます。
ラケットを振って打てない技となれば至高のゾーンを用いても返すことができないし、ましてや同じ球の回転を操る越前リョーマでも返すことはできないでしょう、少なくとも初見では。

じゃあ越前リョーマが絶対に返球できなかったというとそうでもないと思うんですよね、何故ならば越前は不二のカウンターを全部自分なりの方法で攻略しています
何なら天衣無縫なしでもプランス王子の「エース」ですら簡単に吸収してみせるているわけであり、もし不二が最初から狐火球を使っていれば「風が弱点」ということに気づくでしょう。
ならどうすればいいか、答えは簡単で無我の境地で真田の「風」を真似て見えないスイングで強制的に狐火球をアウトにするか、それか真空状態でラケットを覆って返すかのどちらかです。
平等院から日本を託され、阿修羅の神道に片足突っ込んでいる越前なら狐火球の攻略法を余裕で思いつくと思うので(もちろん手塚も)、そうなると最初から出すのは危険ではないでしょうか。

実際、強烈な一陣の風でアウトになっているため、越前が物理的に強烈な風を起こす打球を編み出すか無風で返球する技を編み出せば攻略できたことになります。
そのような試合内容にして越前が完封勝ちする内容でもよかった気はするのですが、そこを敢えてあの様な構成にして越前が実質敗北の様な形にしたのには何の意味があるのでしょうか?
まあ多分「今のままではリョーガに勝てない」ことを不二を通して突きつけるためだったとは思いますが、狐火球に関してはもう少し考察の余地がありそうですね。

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