ランドセルのそこ
倍速で進む、あそこにあった何かは忘れてしまった。
想い出したくてもなんにも思い出せやしない。
疲れた虫たちが眠るように。
起き出して腹のなかをかき回すだけかき回して、
答えあわせはできたもんじゃない。
潰れてぐしゃぐしゃになった段ボールを
もう一度組み立て直しても、
何が入って入ってたんだろう、
穴の空いたそこから目をのぞかせたって手を伸ばしたって
見えやしない届きやしない
肋骨の内側で刺すような痛みが、
はぁと呼吸を吐き出すと、少しだけ楽になって気がして、
まぁいっかそれでもと、また米を口にする。
飲み込んだそれは、どこに、
誰かは言うよね、血となり骨とって
じゃあなんでこんなにドーナツが嫌いなのだろう
ふと呟く、つらつら書く
ひとつふたつと意識は時を耗るのに、
何もないところから何かを生み出したり
手荷物如何にを大きくしていくことばかりで
それに全身全霊かけてしまっている。
じゃあ積み上げてきたと思い込んでたなにかは
然るべきというようにドミノみたいに
倒れた様を綺麗だねと手を合わせるんだろうな
ギマンはいう
あさがこわいの、はなからしってたのに
ギマンはおどるわらう
てのひびわれをわらうみたいに
ギマンはちゅうにまう
あのときみたいでね
ギマンはくるしまぎれに
ありがとうゆびのあいだからめをのぞかせて
ギマンはきえてなくなった
まるでなべのうえであつくなったみずみたいに
肋骨の痛みは内側だけじゃなかったみたいに
2021.1.18 am23:53