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働いてないけど6万円のコートを買いました。

マーガレットハウエル(MHL)で57200円(税込)のコートを買った。

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クラシックでAラインのシルエットが高級感を醸し出している。DiorやGUCCIなどのハイブランドでもこのシルエットが多く採用されていて、POPEYEを読んでいる系の人たちは好んで着られる。中にはライナーもついており、取り外し可能で3シーズン着回すことができるため値段にしては長く活躍できるのだ。ビジネスでもプライベートでも色々なスタイルに合うため困ったらこれを着ていればなんとかなるマスターピースだ。もちろん全てスタッフさんの受け売りだ。ちなみにそのスタッフの方も持っているらしい、それは言わなくてよかった。

それはそうとして、とても可愛くないだろうか。ニットの上に着て古本屋にでも行ってみたくなるものだ。春先には中のライナーを外して綺麗目のシャツに下はデニムで羽織って古民家をリノベしたカフェで一服したい。

とてもいい買い物をした。問題は私が働いていないほぼ無職であるということだけだ。

貯金を切り崩して生活している中では決して安い買い物ではなかった。買った40秒後からは1%、2%と後悔の念は面積を広げていた。

「いや買うなよ」とも思われるかもしれないが、あえて私の自制心のなさには触れずにそんな私さえも購買行動に移させたものの方に着目したい。決して触れたくないわけではない。

元々私は物欲が強くなく、服も1年に2,3着買うかどうかだ。いいなと思うものがあったとしても、3回くらいはお店に行くし、10回くらいは頭の中で「本当に必要か?」「これを買って何になる?」と感情と勘定を巡らせる。

大体はこの期間で欲求は小さくなり結果買わないことになることがほとんどだ。奈良のお寺でお話ししたお坊さんも物欲の抑え方としてとても良いと褒めてくれた。

では、なぜ今回これを超えて来たのか。上の煩悩絶対殺すマンな思考を超える時には2つパターンがあると思う。

1つは「イケメン・美女への恋パターン」。いわゆる一目惚れだ。もう顔が好き、それだけ。何をおいても眺めて自分のものにしたい。後のこととか知らない。好き。のパターン。これも大きな買い物をさせることが多い。大学生の時はこの割合が多かった。恋に恋するような買い方だ。

だが今回はもう1つの要素が強かった。「なんかこの人と居たら幸せになれそうパターン」だ。見た目が際立って良いわけではないんだけど、なんかこの人と日常を過ごしたら安心しそう、いい人生を歩めそう。カフェに行ったり、旅行に行ったり、家で映画を見たり、落ち着くのと共に彩られそう。そんなストーリーを感じさせるものだ。

物自体の価値が薄まっている今だと、後者の魅力を感じるととても強い。モノではなく、コトが求められていると言われてから結構経っているが、やはりストーリーを感じた時に人の心は動く。

これをこんなところで、この人と、こんな時に・・・自分の中で大切な思い出を先に作り上げられるくらいの想像力が働いた時にはもう虜になりかけている。その人の中でその商品の金額がコストではなくバリューになる瞬間だと思う。

そしてそれは商品自体の持つストーリーに誘起されうる。今回で言えば、マーガレットハウエルが持つ世界観、シンプルの中にある意匠、イギリスならではの格調高さ、それと同時にある新しさへの挑戦。それを店舗やスタッフ、サイトなどのメディアを通じて感じて、自分の持つ「古民家をリノベしたカフェと本屋が好き」という気質とのシナジーを想像した時にストーリーが生まれた。

今は多くの企業でこのストーリーに着目した取り組みがされている。体験型店舗、VR、ARという技術を用いたブランド発信といった商品だけでなく空間で表現する段階でもある。次はどんなストーリーに出会えるだろうか。

しばらくは自炊して節約しながらだが、待っていようと思う。

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