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儚い記憶

 儚い記憶の中に生きている。
 横浜の雨が僕に優しい。
 午後の応接間には誰もいない。
 目の前に広がる小さな庭には祖父がいる。

 全ては過ぎてゆく。
 風も雲も記憶も。
 寒空を見上げて大きく息を吸う。
 微かな胸の痛みが心に沁みる。

 誰が僕を必要とするのだろう。
 消せない人生を量りに乗せる。
 色褪せた記憶だけが静かに残る。

 笑えない日常を強かに生きている。
 セピア色に滲んだ想いが歌を歌う。
 僕は僕であり続けたいだけなんだ。

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