【おすすめ本のご紹介】売上を、減らそう。
今までは直接取材した方の記事でしたが、働き方とお金について考える参考書籍についても、これからはご紹介したいと思います。
その1冊目として京都にて国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」を夫婦で経営する中村朱美さんが書かれた「売上を、減らそう。」をご紹介します。
佰食屋の特徴
佰食屋さんは営業時間は3時間半で、どんなに売れても100食限定、飲食店なのに残業0でお店を運営しているところが特徴的です。
経営のモットー
・倒産しさえしなければいい
・従業員の夢を叶える土台になればいい
であると著書に書かれています。
売上ベースで経営をせず、自分の人生に照らし合わせてお店の形を決めているところが大きな特徴です。100食限定というビジネスモデルも売上ベースで考えたら、必ずしも思い浮かばないアイデアでしょう。
経営の業績目標
経営では一般的な業績指標としてのKPIは設定しません。
KPIを設定すると数字を上げることが目的化してしまうので設定しないことが著書に明記されています。
社員が集まらない日だと、100食を80食に変更するなどという対応を取ることもあるそうです。
従業員も大事にする
経営のモットーにもある通り、従業員を大切にしています。
「頑張れ」といって従業員には無理をさせずに「仕組み」で稼ぐことを大事にしていることが著書には書かれています。
それでは業績が伸びないようにも思えますが、結果的に伸びているそうです。例えば、従業員が働きやすい環境にすることで成長し、その従業員のため新しいお店を出店する事例が紹介されています。
出店が目的ではなく、従業員が欲した結果出店しているところも特徴的です。
中村さんの職業観
自己決定権を大事にしています。
中村さんの優先順位の第一は「家族との時間」であるとのことです。
「仕事は本来、人生を豊かにするためにあるもの。」という価値観です。
過去インタビューさせていただいた方のお話の中でも、仕事だけが人生ではないという趣旨のことを話される方がいらっしゃいました。
私たちのどこかに人生の第一の優先順位は仕事でなければならないという「常識」があると思います。
この「常識」と自分の価値観とをしっかり区別すると同時にそれを会社の経営として体現されています。
中村さんのお金観
お金ベースで会社の経営を考えていません。お金を第一のベースで物事を考えないところが大きな特徴だと思います。
自分の嫌なことを従業員にもしていません。
自分の自己決定権の大事にすることと他人の自己決定権を大事することも両立しています。
その結果として会社の業績が上がっています。
短期目線では考えずに自分と周りの人の幸せを大事にする。
いっけんただのきれいごとのように聞こえますが、実践することでお金の面でも充実しています。
一方で従来型のマーケティングを無視しているわけでもありません。
・月に1回自分がその金額を出してでも行きたいお店かどうか
・家庭で再現できないもの
・大手チェーンに参入されにくいもの
・みんなのごちそうであること
このようにお店づくりをする際に、計数的な計算もしていますし、他社との差別化という要素も考えお店作りされています。
お金ファーストではなく逆にかけ離れているわけでもありません。お金とのほどよい距離を意識して経営とのバランスはとっていることもまた著書から読み取ることもできます。
まとめ
具体的なお話から働き方とお金について学び考えるとてもよい一冊だなと感じました。
飲食店というと給料が安く長時間労働ですぐに人が辞めるという業界だと一般には言われます。
ただ、価値観ベースで仕事とお金について考えれば、全ての人にとってよいお店づくりもできなくないことがわかります。
コロナショックが起きたこともあり、今後このような売上ベースで設計しない飲食店も増えていくのではないでしょうか。
飲食に携わる方だけでなく幅広くいろんな人に読んでいただきたい一冊です。