#104 最近よんだもの(27) 家事学校と二拠点生活
「ショッピン・イン・アオモリ」(能町みね子、東奥日報社)
青森で暮らし始めた能町さんが、東奥日報で連載している人気コラム。なんとなく憧れのある、二拠点生活について考える。現実的なのは、現住している地方都市と、妻か自分の田舎との二拠点生活だけれど、どちらかが都会でないと意味ない気がするなあ。
青森には行ったことがない。夏の過ごしやすさについて読むと、その時期にしばらく滞在してみたいと思う。機会を作って行ってみたい。恐山にはぜひ。ヤマモト食品の「ねぶた漬」は今年も年の瀬に買おう。
「この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない」(岩井勇気、新潮社)
この人の書くものは、不思議と面白い。狙っていないような、少しは狙っているような。不思議なんだよね。結婚についての記述はない。
「山の上の家事学校」(近藤史恵、中央公論新社)
なかなかにつらい読書体験だった。家庭というものが、妻の尽力によって回っているということは頭で理解していたが、実感としては分かっていなかった。無自覚だったといってよい。
賃金が発生しない仕事。まずは、無理なくきちんと暮らすための小さな努力の積み重ねへの感謝が必要か。簡単な風呂掃除や、排水口や三角コーナーの掃除をしないくせに妻が縛ったゴミ袋を捨てるだけで、家事をやった気になってはいけない。
きっとすぐに忘れる。また気づいて、反省し、修正していく。
ほかに痛感したのは、自分の人の話を聞く能力の欠如。これはデリカシーのなさの問題だろう。身につまされるどころではない。が、なかなか改善しない。これについても、そのたびに反省し続けていくしかない。
人との距離というのは、家族でも難しい。それについては、また別稿で考えたい。
最後になりましたが、近藤史恵のこの作品は、とても読みやすく面白いです。仕事にかまけ家庭を顧みなかった中年男が妻から離婚され、あるきっかけで家事学校に入学することになり、そこで大切なことに気づかされていく、といった内容。自分は家事をしないという人、自分は家事を手伝っているほうだ、と思っている人には特におすすめです。三下半を突きつけられないために。