#96 出雲蒸され旅(1) 墓場百鬼堂
真夏の時期はあきらかに回数は減ったが、いまもサウナは月数回のペースで通っている。頻繁に通っていた以前よりはちょっと億劫になってきた、という感じだろうか。とはいえ、いまでも旅先でサウナに入るのは心が躍るし、車を買い換えてドライブが少し快適になったので、行ったことのないサウナにも足を延ばしてみたいと思っている。
職場でまとまった休みを取るよう指令が出ているため、結果的にクソ忙しくなった10月下旬に休暇をとった。日程は年初に決めているので致し方ない。妻と足立美術館と出雲大社に詣でようということになり、初夏には皆生温泉の結構いい宿と飛行機のチケットを押さえていた。
しかし旅行直前に妻の親が急な手術を受けることになり、妻が一時実家に戻らねばならないことになった。すべて白紙にする案も検討したが、飛行機代など戻らないものも多くもったいないため、ふたりで話し合った結果、私がひとりで「下見」に行くことになった。妻のチケットと2人で予約した宿はキャンセルし、宿泊はビジネスホテルで1人に変えた。
羽田から米子鬼太郎空港へ。飛行機は苦手なので緊張する。気流が悪く結構揺れた。なぜ嫌いな機内でひとり怖い思いをしているのか、でもまあそんなに悪い人生じゃなかったな、などと考えていた。およそ観光旅行の高揚とは無縁ではあった。
飛行機は落ちるわけもなく無事着陸し、レンタカーを借り、水木しげる記念館へ。ゲゲゲの鬼太郎を読んでいた幼い頃の記憶がよみがえり、なんとも言えない気分。楽しくもあり寂しくもあり。戦争について、この世とあの世について考える。河童の三平グッズが欲しすぎる。だが私もいい大人なので、クリアファイルや絵はがきなど、厚みのないもので我慢する。水木しげるロードを散策し、宿へ向かう。もっとじいさんになったら、未読の水木しげる作品をたくさん読もう。
米子城近くのホテルでひと息いれ、夜は米子駅前の居酒屋で食事をとった。
まだサウナに入っていませんが、続きます。サウナに行こうと思ってホテルの近くの店に目星をつけていたけど、運転に疲れて面倒になってやめちゃいました。
この文章は、さる山中の紅葉の素晴らしい日帰り温泉施設でサウナに入ったあと、とてもおいしい地粉の天ざるそばをいただいたのち、落ち着いた感じの休憩室でしたためています。アクセス悪いけど最高だなあ、ここは。