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すみません、走ることは趣味ですか?

鼻で笑われるかもしれないが、PCの前に座り、キーボードを打ち出すとこんこんと水が湧き出るように文章が書けることがある。まさに今がそれだ。

実は、つい先ほどまで会員限定用の別の記事を書いて下書き保存したばかりなのだが、とめどなく溢れる文章が止められずに今これを書いている。偶然にも何か面白いものが書けるかもしれないし、あるいはチラシの裏以下のものが出来上がるかもしれない。雨が降って大地に染み入るようにとにかく身を任せてみようと思う。


さて、おそらく読者の方の多くは程度の差こそあれ"走る"という趣味を所有していると思う。あるいは何かしらの趣味があると思う。もし自分が趣味として走るということをしていなければ、このような記事を書くこともなかっただろうし、それこそ多くの読者とも出会っていなかっただろう。


ん、何かが引っかかるな。何だ、このむず痒さは。


趣味…


これだ。


自分にとって走ることは本当に趣味なのだろうか


はい、趣味です。
いいえ、趣味ではありません。


趣味だ。完璧に100パーセント趣味だ。仕事ではない。何も走ることで生計を立てているわけじゃない。だから趣味だ。人生における余暇としてたまたま今は走っているに過ぎない。休日におじさんが釣竿とクーラーボックスを背負って朝早くに出かけるのと何ら変わらない。ただの趣味だ。走ることが趣味であることは現代において至極一般的だし、それを公言したところで恥をかくこともない。だから走ることは趣味だと声高らかに宣言しても何の問題もない。いちいちそんな些細なことに疑問を持つくらいなら、何か社会の役に立つようなことにその時間を使えないのかね。その通りだ。ぐうの音も出ない。


でも、違う。


いや、もちろん趣味であることは間違いないのだが、趣味ではない。だからと言って、全くもって趣味ではないと言い切ってしまうのも少し違う。なんと言えばいいのだろうか。趣味という範疇には入っているのだが、それとは異なる別の何かという範疇にも入っている。そして、その別の何かという範疇に入っている割合が趣味という範疇よりも大部分を占めている。だから、走ることが趣味であると自信をもって言えないところがある。

じゃあ習慣か。それも違う。確かに、十数年継続して行ってきたことだし、走ることが日常生活の一部に組み込まれている。歯を磨いたり、帰りにコンビニに寄ったりするような習慣とも言えるかもしれない。だが違う。端から見れば明らかに習慣とも言える行為でも、自分にとって走ることは習慣という範疇には入っていない。


すみません、走ることは趣味ですか?

最寄駅を歩いていると街頭インタビューでこう問われる。はい、趣味です。だめだ、どうしても言えない。口籠ってしまう。

え、走ることは趣味ではないのですか?
では仕事なのですか?

若い女性インタビュアーはトーンを上げて迫り来る。口籠る。そう、趣味なんだ。間違いない。趣味だ。絶対に趣味だ。でも違う。別の何かが邪魔してくる。あぁ、オレはなぜ走っているのだろう。

趣味でも仕事でもなければ、あなたにとって走ることは一体何なのですか?
ねえ! ねえ!! 早く教えてもらえませんか!!!


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