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#68 純白啓蒙読書会.ミシェル・フーコー『監獄の誕生』&マーク・フィッシャー『資本主義的リアリズム』&柄谷行人『定本 日本近代文学の起源』

ミシェル・フーコー『監獄の誕生』

 ミシェル・フーコーの本の中で1番グロテスクかもしれないいかに精神病院が権力的,つまり医学部という制度がいかに人々を理性と狂気に分けて搾取しているかが分かる内容.そのシステムをその系を功利主義者ジェルミー・ベンサムの弟あたりが考案した一望監視施設の完成形,最大にして最高の囚人を監視する規律訓練型権力に数えられてパノプティコンと呼ぶ.パノプティコンでは見えない監視人の監視により自ら不安になった囚人は自らを権力で殴るということをしでかすという.これ以上に様々にふざけた狂気が描かれている.

   狂気の歴史やインタビュー集,最後の本,デビュー作,吉本隆明との対談,エピステーメ,歴史という洗脳を描いた言葉と物もデータとして面白いが,1番オススメはグロテスクさや実用性から監獄の誕生だ.あるいは狂気の歴史,そしてインタビュー集を片手間に考えるのをオススメする.

マーク・フィッシャー『資本主義的リアリズム』

 確か自殺したイギリスの作家.アイルランドらしいドラック感を味わえる絶望死のバイブル.監獄の誕生同様に感情に刺さる文芸批評が多くありもし現代に文芸批評家なロラン・バルトがいたらこうなっていた可能性も皮肉の意味でなく軽く感じる.

 ただこれを読むならラカニアンなスラヴァイ・ジェジェクだったりイギリスの風刺小説をまず先に読んでから読まないと難しい気もする.

  経済学入門やマルクス入門を1冊読んでからが良いかも知れない.

柄谷行人『定本 日本近代文学の起源』

   下手したら1番難解かもしれない.

   文学の歴史を探り風景という言葉をテーゼに文学史がいかに捏造された虚構かをアジテーションする典型的左翼の基本書.

   オススメは柄谷行人インタビューズやシンポジウムを片手間にすると分かりやすくなる.

   柄谷行人は頭は良いが言っていることは凡庸な気がするが,その中でも理論的に面白いのはこれかもしれない.

    宮台真司と同じで頭の回転は早くても何か突出したアイデアを出したという印象はない.

   柄谷行人入門書としてはトランスクリティークよりも内省と遡行がオススメだがホモソーシャルか?

 良くも悪くも日本人のかつての御用学者?的人間の思考を反面教師にする際に役に立つ.
  


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