詩人の恋(改訂版 6)
「桜より ほのかに香る梅が好き・・。」と
さりげなく 君は
そう 呟いていたね。
心浅はかな 僕は
桜のように美しい 君の容姿に
ただ 見惚れて 浮かれ
本当は
物静かで 清楚な君の
その瞳の奥に 佇む
僕への優しい 香りを
察して あげられなかった・・・
君が去った 今
愚かな僕は 知らない町を
あてなく さまよい
心を鎮めている 日々
君には もう 会えない・・・
はずなのに
肌寒い 空気の中
時折 梅の香りと
届く 君の気配に
はっ と振り向いては
ぽつんと 一人
目先の 梅の木を
ずっと
見つめ続けている・・・
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