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川に叫ぶ男たち

釧路川がとても頼りがいのある存在だと
いうことは…自分も認める。
けれども、あんなストレートに思いをぶつけて
いたのを目撃するとは…思わなかった。

釧路の朝。
外を見ると、面白いくらい霧が出ていた。
「これぞ、釧路の街だ!」と思い立ち、
朝食前に幣舞橋周辺を散歩することにした。

霧は周辺の施設を全て隠すわけでなく、
うっすらと幻想的に隠す。
この隠し方が街をミステリアスな装いに
させるのだが、これがまた魅力的だ。

釧路にいるのに、雰囲気の異なる土地へ
来た気分で釧路川沿いを歩いていると…
冒頭の光景に出くわしたのだ。
最初は何か事件があったのでは…と思ったが、
対岸に目をやると、2人の男性がいるのみ。

「そっか、どちらかが叫んだのか」
と、自分の中で結論を出す。
もう終わったのかなと思い、安心していたら…
「わっ!!!!」と、まさかの二発目。

驚きながらも振り返る…
自分も色々な気持ちを抱きながら。
川を眺め、気持ちを整理したことがある。
だから、叫びたい時もあったよなと。
(けれども、自分は叫ばなかったが)

青年よ、ここは川だ。
叫ぶなら、近くに海もあるのだから…
そこで叫びなさい。
きっと海が、その鬱憤を引き受けてくれるさ。

対岸にいた私にその鬱憤を飛ばしたとて、
私は何もできんぞ。

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