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《企画・開発》長年、温めていたが、どうにも手をつけられていない医療系企画 5つ

はじめに

医療業界に入って、はや20年目に入った。
医療というのは医者という絶対の存在がいて、医者を中心として、看護師・放射線技師、臨床検査技師、薬剤師などのコメディカル、病院施設
高額な医療機器、治療費の7割を保険が支払うというシステムに対応するための事務員などで構成される。

「命がかかっている」という絶対のテーマがあるので、どんなにシステマチックに運用しようとしても、曖昧な部分を許容せざるを得ない。
命とルールとどっちを取るのだと問われ、
「ルール」と答えられる人は医療人にはいないだろう。

それ故に、医療を取り巻く商売には、曖昧を調整できる「」が介在する要素が大きく、なかなか効率化が図れないのだと思う。
かつて製薬メーカーがお金を湯水のように使って医師を接待し、自分たちの薬を採用してもらう手法が取られていた。
いまはそんな予算は製薬メーカーに無いそうだが、MRという職種のスタッフが現在も夕方になると医局の廊下に並ぶ光景は変わっていないから、
やはり医療営業は合理性よりも人と人との付き合い、といった要素が欠かせないということなんだと思う。

ベンチャー企業が医療業界に世間常識的な合理性で切り込んでいくと、早々と医療の「あいまいさ」に弾かれ、意気消沈し、ごく一部分を担う商売になるか、撤退していくことになる。
結局、医療ベンチャーは、知り合いの医師とともに会社を立ち上げるしか無いが、チャレンジ的な提案は新しい物好きの先生のいるクリニックしか受けないから、細々とやっていくことになる。
大きなお金が動く中規模以上の病院のシステムなどは、東芝や日立といった「有名な」企業を信頼して依頼することになり、莫大な費用がかかることになる。その結果として
医療のIT化とは、結局はカルテと画像がデジタルに置き換わる、というところ止まりになっている。

これだけ医師不足・看護師不足が現代のITによって解決されて行かない原因は、薬師→医師 また 助手→看護師という経緯をもつ日本医療組織が西欧医療の在り方ととマッチしないためだ、と思っている。

だから、カルテシステムも「いかに医者が入力しやすいか」という医師目線のシステムしか発展していかない。

しかし、医師の周りのコメディカルやそれ以外のスタッフの業務を効率化し、彼ら彼女らにできる部分を最大限に処理してもらえるようになれば、医師はもっと医療のコアな部分に専念でき、また、十分に休むことができるようになるのではないか、という思いで長年温めてきたアイディアである。

いつかは達成したいと思っていたが、自分の状況が一向に改善しない。
「なにか思いついたら、同時期に3名は同じことを考え付いている」と何かで読んだことがあるが、内容的に難しいのかそういった話は入ってこない。

なので、技術と人脈と資金がある人、ぜひ次の企画を検討してもらえないだろうか。

アイディア①:オーダー・カレンダー

人材派遣の自動マッチングシステムを作るという話は、この業界に入った10年前から画策しているプログラマーはいた。しかしながらいまだにそういったシステムができていないところを見ると、なかなかそう簡単にはいかないのだろう。

人材派遣会社向けのシステムは昔からある。求人広告に関しても、自動マッチングでメールが届いたり、インディードのようにすべての検索をサーチして案件を探すシステムも入ってきている。

それでも、従来の自動マッチングがそんなにうまくいくとは思えない。料金の支払元である企業や病院に使ってもらうためには、登録者を増やさねばならず、そのため登録のハードルが異常に低いのだ。選択肢は増やしてあげるから、あとはそちら(企業・病院)が選んで!というのが基本スタンスなのだ。だからそういった会社は、応募数やアクセス数ばかり強調する。人を送り込んだら課金される。

それとは違う、必要な時に気軽に個人にオーダーできるシステムがあればいいのにとずっと思っていた。イメージは以下の通り

仕組み
求職側(医療スタッフ側)→プロフィールを登録する。スキルと年数を細かいアンケートに基づき記入。その後、勤務可能日を自分で入力。システム登録料利用料として金額を払う。
求人側(病院・クリニック側)→年間登録料を払って、スタッフ情報が見られる(スキル・最寄り駅に限られる)カレンダーで本人勤務可能日を表示できるので、直接オファーする。
その間の料金は一切無料。基本的にはシステムでやり取りをするため、連絡先などの個人情報は極力伏せることができるが、当事者どうしでやり取りをしても、中間費用の問題がないのでまったく問題ない。

特徴
クライアントに表示する内容には、スタッフ本人の入力内容の他、勤務履歴による評価や、登録時のスキル確認を行うことでデータの付加価値を高める。
実際のやり取りに課金しないことにより、当事者同士のトラブルに巻き込まれるリスクは少ない。あくまでプラットフォームを提供しているというスタンス。1回2回と同じ人を頼むと、当事者間で直接契約を結ぶ可能性が高いが、問題ない。むしろ、システムを介さないと双方の事情を考慮しなくてはいけない状況になるため、登録・使用者の関係のほうがいい場合も多いだろう。求人広告に20万円使うのであれば、システム使用料年間20万円ほどの設定であっても、必要時にすぐに対応のできる選択肢を外す手はない。

リスク
実際に使ってみたところ、該当者が全然いないという可能性がある。ただ、検索する側もこの条件だと希望者が多く、この条件を付けると少ない、といったニーズを把握できる。登録者を増やすために入力内容のアドバイスやクライアント・登録者双方が被害にあわないようなルール作りは必要。

アイディア②:政府直轄!!健康診断キャラバン

レントゲン車に他の計測機材を積んで、健康診断を出張してやることは、過疎地・遠隔地では意味があると思うが、クリニック・病院が密集している都心で実施する意味はまったくないと思っている。集団で行うことにより、企業として義務である安全衛生のラインを管理者が楽に突破したいということで存在するんだろう。実際に2020年に集団健診をやめ、各個人で実施するように切り替えた企業が多くある。

一方、過疎地を含め、医療空白地などに出張・巡回健診に赴くことは大いに意義があると思うが、今の所は、地元の病院がレントゲン車を持っている場合か、本社が都心にある大手企業の支店が行うのみ。自分で近隣のクリニックに行かねばならないし、そもそも病院嫌いの高齢者も多い。

ただ、実体験から言うが、高齢になってくると基本的に動くのが大変だし、普段病医院にかかっている人はいいが、健康だと自負していてる高齢者は病院に行くことを嫌がる。近くの役場などで出張健診などをやっていれば、息子・孫が誘って検査を受けに行きやすいと思うが、すべての自治体で実施しているわけではない。

なぜこのような状況になっているかというと、「利益にならない」ためである。対象人数が少なすぎるからだ。
そこで、公共機関の出番である。
厚生労働省直轄の「健康診断キャラバン」を創設する。
キャラバンメンバーはその証明たるIDをもつ。全国を回り、過疎地の高齢者を中心に健康診断を行う。その際、判読や2次検査の受け入れを地元公共病院を中心に、クリニックなどと連携して行う。実際、心電図や超音波検査などは最新の機器を使えば、ワンボックスで十分対応できるので、1年をかけて全国行脚する遊軍を設定し、検査を実施していくとともに、データを集約し、地方の健康状態を常時把握できるようにしていく。
ただ、レントゲン撮影だけは大型バスが必要で、ここを代替検査でも良くなるように制度を変えることができれば、出張の健康診断は飛躍的に機動力が上がって受診率も上がると思う。

予想されるいいこと
健康診断は、わざわざ検査をしてあげているにも関わらず、文句を言われたり怒号をうけたりするのをみることがよくある。
理不尽だなぁと前々から思っていた。
過疎地の巡回健診であれば、出向いて行って検査を行うことに、感謝されることが多いのではないだろうか。それにより医療のやりがいを感じるスタッフもいると思う。

制度変更は必要
この場合、最大のネックであるレントゲン撮影を定期健康診断の必須項目から外して、別の検査で代用できるようにしないといけない。

アイディア③:流しの超音波検査

医療職の派遣はいまだに過疎地や産休の代替でしか認められていないが、医療はグループで継続的に行うという看護の観点から論じられることが多い。看護協会や医師会の政治力という側面もあるだろう。

しかし、医療技術(臨床検査技師・放射線技師)は、チームであろうがなかろうが「技術」を専門とする職種である。神の手を持つ医師が、海外病院から招聘されると同じく、高精度の検査を行う技師が、派遣のようなスタイルで他の病院のヘルプに入ることができないのは、非常に効率が悪いと常々思っている。「技師」こそ「派遣」にマッチした職種はないのではないかとさえ思う。

その中で、とくに技術を要する超音波検査について、超音波検査機器を持たない医院に簡易の機械とともに出向き、検査し、医師と話し合いながら患者を診ること、患者にとっても非常にいいことではないか。
他の国ではありえないほどの超音波検査機器が導入されている日本で、もっともっと医療資材を活用していくには必要だと思う。
イメージは「プローブ一本さらしに巻いて~」 各クリニックを渡り歩く、流しの超音波検査技師を集めて手配できるようにしたらどうだろうか。

アイディア④:一般にも必要な医療知識の資格

病院に関わるスタッフは、医療資格をもつ人以外にも、リネン・医療機器メーカー・医療材料問屋・清掃・給食・保険など、いろいろいるが、出入りしたり業務したりするのに一定基準の衛生知識を持たせる必要があるのではないか。

実体験として、公共病院では事務員は市役所から配置転換で送られてきたりするが、衛生の概念がないのか、課長クラスがパンをムシャムシャ食べながら廊下を歩いてる場面に出くわしたことがある。
また、ある企業内診療所では、清掃業者が所内を清掃する際、ごみ箱を平気で診察ベットの上にあげていたりする場面を何度か見たことがある。

病院側の対策の補助作として、一般企業が感染性の事が起こらないようにするため、いくつかの病院と連携して認定資格を創設する。
イメージは医療事務の認定資格などと同じ。

病院という性質を考えるうえで「感染予防に関する知識」は必須であるし、そのほかにも出入りするからには知っておかないといけないことは多々あるだろう。
病院に出入りするには「その知識を学習したという証明」を発行する機関を作り、大手病院と提携して、そのライセンスを掲げているものが出入りするのを前提とするようにすれば、病院の安全も守れるし、資格を発行する会社は、何もしなくてもどんどんお金が入ってくる。

アイディア⑤:レセプトデータのAI活用

AI(人工知能)の話が盛り上がっているが、やはり花形の「診断」の部分に焦点が当たることが多い。多くの画像処理データの中から病巣を見つける、といったたぐいのものだ。

画像解析もAIの得意分野であろうが、日本には「皆保険制度」があり、すべての医療行為が点数化されていることを利用する。診察料の7割が「健康保険」から病院側に支払われていて、診察・検査・手術・注射を刺すといったテクニック・画像を見て病気か判断する労力・注射の材料費・長期的に管理している手間賃・薬の説明をする手間賃などがすべて数値化され、そこから医療費がはじき出される仕組みだ。

この仕組みの中で注目すべきは、検査から病名に至るまで、
「すべてがコード化されている」という点だ。
病名はかつては先生が自由につけていたが、近年ではコードの決められてる病名を付けるように指示されている。それをしないとお金を払わないと言われるのであれば、従うしかない。

ここで前半のAIと結びつくが、診療報酬情報およびカルテ情報こそ、日本の持つビッグデータであり、これにAIを結びつけない手はない。日本医師会が作成しているORCAというシステムは、定点観測を行っていてデータを拾い上げているが、医師会員に情報を提供する程度のものにしか活用できていない。

もうすこし、本格的に情報を吸い上げ、AIで分析をし、地域性や時期・時代の傾向をつかんで予測を立て、医師に伝えることで早めに手を打つことができるのではないか。自分の地域は喫煙率が高ければ、喫煙外来を標榜する、などの情報も手に入ると面白い。そのためには、カルテ内容に、もう少し生活様式的なデータが入れられると、多角的な予測がたてられると思う。

まとめ

こうして並べてみると、結構規模の大きな話も多い気がするが、内容自体は今までいろいろな人に話したが「いいねぇ」という感想をもらった事しかない。まあ、実現は無理だよね、やれるならやってみれば?という感想なのだろう。
ニーズはあると思うんだけどなぁ。


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内山 聡
H&Uメディカルインフォメーション ソフト販売 セミナー実施 医療コンサルティング