見出し画像

教育について法律や学習指導要領から考えてみる

皆様、こんにちは。
東大卒の25歳で教育分野での起業を準備している
佐藤黎司(さとうれいし)と申します。

今回は正月に教育基本法や学習指導要領を
読み込みましたため、
その内容をシェアしつつ、
教育について考えてみます。

※今回はかなり真面目な内容です笑
各見出しの最初に要約して、
後半に条文引用という形式にしますので、
早く読みたい方は条文を飛ばしてお読みください。


1 教育の目的とは?

まず教育基本法から
教育基本法を読むと、大まかには
憲法に記載されているような
理想とする社会像、人物像があって、
それを達成するために教育を行うとわかります。

民主主義、リベラリズム的な価値観
伝統の継承と創造といったところでしょうか。

この教育の目的の是非はともかく、
勉強するにあたり、このような目的があることは
理解しておくと良いのではと思います。

目的に共感できる場合は、目的を意識して
学ぶことで高い効果を期待できますし、
共感できないのであれば、学校の勉強だけでは
自分の目的に沿う学習ができないので、
さらに追加で学ぶ必要があると思います。

いずれにせよ、私はこのような目的を知らずに
勉強してしまっていましたので、
これを意識できるだけで、一歩前に進むのではと
私は感じました。

我々日本国民は,たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに,世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
我々は,この理想を実現するため,個人の尊厳を重んじ,真理と正義を希求し,公共の精神を尊び,豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに,伝統を継承し,新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

教育基本法前文より抜粋

教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

教育基本法 第一条 教育の目的

教育は,その目的を実現するため,学問の自由を尊重しつつ,次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やかな身体を養うこと。

二 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。

三 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。

四 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

教育基本法 第二条 教育の目標

教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。
(教育基本法第二条は上述)
これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の児童が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓ひらき,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。
教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。

学習指導要領 前文より抜粋


2 学校教育・義務教育の目的とは?

教育の中には、学校で行われる教育と
社会の中で行われる教育があり、
条文上も明確に区別されています。

まずは、学校教育・義務教育について
見てみましょう。

基本的には学校は
「1 教育の目的とは?」記載の目的を
達成するためにあるのですが、
学校教育という点では、
社会の一員としての規律を身につける、
体系的、組織的な教育を行う、
体験を通して学ぶということが書かれています。

仮に知識だけを身につければよいのであれば、
教育にかけている費用を
マンツーマンの塾や家庭教師に全部かけた方が
もしかしたら効率的かもしれませんが、
社会の一員としての規律、組織的教育という点が
学校教育の意義なのでしょう。

学校教育が横一線だというような議論を
耳にする機会もありますが、
この条文を読むと、それを目的としている面が
あるのでは、ゴールがそもそも違うのに、
手段の議論をしても仕方ないのではという
感じがしました。

学校教育の中身の議論は、
そもそもどのような社会を目指すのか、
どのような人材の育成を目指すのかと
セットになるのだなと改めて感じました。

義務教育として行われる普通教育は,各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い,また,国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

教育基本法 第五条2項 義務教育

前項(いわゆる学校の定義を説明している)の学校においては,教育の目標が達成されるよう,教育を受ける者の心身の発達に応じて,体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において,教育を受ける者が,学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに,自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

教育基本法 第六条2項 学校教育

一 学校内外における社会的活動を促進し,自主,自律及び協同の精神,規範意識,公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。

二 学校内外における自然体験活動を促進し,生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

学校教育法 第二十一条 義務教育より抜粋

3 学校以外で行われる教育に関して

教育基本法には学校以外で行われる
教育に関しても触れてありますので、
ここでも軽く触れます。

当然かもしれませんが、
教育を学校という狭い枠組みで捉えておらず、
また実践を重視していることが感じ取れます。

国民一人一人が,自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

教育基本法 第三条 生涯学習の理念

父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有するものであって,生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

教育基本法 第十条 家庭教育

4 育成を目指す資質・能力

学習指導要領には文科省の補足説明があり、
これも参考になります。

学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」をより具体化し、以下の3つに整理していると説明されています。

ア「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」
イ「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」
ウ「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」

説明を読む限り、上記は段階的なものであり、
ウを念頭に置きつつ、
そのための基礎としてアやイというスキル取得と
関連させながら身につけるのだと感じます。

この考え方は学びを人生や社会に役立てることを
意識する必要があるという私の考えと
同一の方向性であると思いますので、
個人的には、理解できるものであると感じます。

中央教育審議会答申においては,予測困難な社会の変化に主体的に関わり,感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにすることが重要であること,こうした力は全く新しい力ということではなく学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」であることを改めて捉え直し,学校教育がしっかりとその強みを発揮できるようにしていくことが必要とされた。また,汎用的な能力の育成を重視する世界的な潮流を踏まえつつ,知識及び技能と思考力,判断力,表現力等をバランスよく育成してきた我が国の学校教育の蓄積を生かしていくことが重要とされた。

このため「生きる力」をより具体化し,教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力を,ア「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」,イ「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」,ウ「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」の三つの柱に整理するとともに,各教科等の目標や内容についても,この三つの柱に基づく再整理を図るよう提言がなされた。

今回の改訂では,知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むために「何のために学ぶのか」という各教科等を学ぶ意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していくことができるようにするため,全ての教科等の目標及び内容を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で再整理した。

学習指導要領補足説明 
②育成を目指す資質・能力の明確化より抜粋

子供たちが,学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解し,これからの時代に求められる資質・能力を身に付け,生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには,これまでの学校教育の蓄積を生かし,学習の質を一層高める授業改善の取組を活性化していくことが必要であり,我が国の優れた教育実践に見られる普遍的な視点である「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善)を推進することが求められる。

その際,以下の点に留意して取り組むことが重要である。
エ 1回1回の授業で全ての学びが実現されるものではなく,単元や題材など内容や時間のまとまりの中で,学習を見通し振り返る場面をどこに設定するか,グループなどで対話する場面をどこに設定するか,児童生徒が考える場面と教師が教える場面をどのように組み立てるかを考え,実現を図っていくものであること。

オ 深い学びの鍵として「見方・考え方」を働かせることが重要になること。各教科等の「見方・考え方」は,「どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり,教科等の学習と社会をつなぐものであることから,児童生徒が学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせることができるようにすることにこそ,教師の専門性が発揮されることが求められること。

カ 基礎的・基本的な知識及び技能の習得に課題がある場合には,その確実な習得を図ることを重視すること。

学習指導要領補足説明
③「主体的・対話的で深い学び」の
実現に向けた授業改善の推進より抜粋

四 家族と家庭の役割,生活に必要な衣,食,住,情報,産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。

五 読書に親しませ,生活に必要な国語を正しく理解し,使用する基礎的な能力を養うこと。

六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し,処理する基礎的な能力を養うこと。

七 生活にかかわる自然現象について,観察及び実験を通じて,科学的に理解し,処理する基礎的な能力を養うこと。

八 健康,安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに,運動を通じて体力を養い,心身の調和的発達を図ること。

九 生活を明るく豊かにする音楽,美術,文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。

十 職業についての基礎的な知識と技能,勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

学校教育法 第二十一条 義務教育より抜粋

5 各学校の役割

もう少しブレークダウンして、
各学校フェーズでの役割についても
見ていきましょう。

小学校

大まかなにまとめると、
生涯にわたる学習の基盤を形成するフェーズだと
記載されています。 

知識や技能、スキルはもちろんですが、
学習に取り組む態度にも言及されています。

小学校フェーズが基礎として、
重要なフェーズだと考えられていると感じます。

生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない。

学校教育法 第三十条2項より抜粋

教育指導を行うに当たり,児童の体験的な学習活動,特にボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする。

学校教育法 第三十一条より抜粋

児童が学ぶことの意義を実感できる環境を整え,一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは,教職員をはじめとする学校関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,様々な立場から児童や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育の基礎の上に,中学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,児童の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して,ここに小学校学習指導要領を定める。

学習指導要領前文より抜粋

⑴ 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮すること。 

⑵ 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。

⑶ 学校における体育・健康に関する指導を,児童の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。

学習指導要領総則より抜粋

中学校

中学校では小学校の基礎の上に行われる
義務教育として定義されています。

記載内容自体、小学校と比較して、
特に目新しいものはありませんが、
基礎の構築という小学校と比較すると、
より具体的な内容に進むことを
想定しているのではないかと思います。

中学校は,小学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。

学校教育法 第四十五条

幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に,高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して,ここに中学校学習指導要領を定める。

学習指導要領前文より抜粋

 

高校

義務教育の基礎に立脚し、
高度な知識、専門性、
社会への広くて深い理解、健全な批判力と
求められるレベルが上がることが感じられます。

自分自身の体感として、
内容が難しくなったとは感じたものの、
そこまで急に専門的になったとは
感じていなかったですが、
意外と明確な違いがあったのですね笑

高等学校は,中学校における教育の基礎の上に,心身の発達及び進路に応じて,高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。

学校教育法 第五十条

高等学校における教育は,前条に規定する目的を実現するため,次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて,豊かな人間性,創造性及び健やかな身体を養い,国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。

二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき,個性に応じて将来の進路を決定させ,一般的な教養を高め,専門的な知識,技術及び技能を習得させること。

三 個性の確立に努めるとともに,社会について,広く深い理解と健全な批判力を養い,社会の発展に寄与する態度を養うこと

学校教育法 第五十一条

おわりに

条文に目を通して見ると、
教育の目的が結構書いてありますし、
育成したい人物像や社会像が見えてきて
面白かったです。

次回以降は各教科に関して、
学習指導要領を基に
考えてみようと思います。

それでは、また👋

いいなと思ったら応援しよう!