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異界駅日記1 『ニネン駅』

2022/04/17

ふと、前に降りた『ニネン駅』のことを思い出して夕方16:20発の電車に乗った。前に見つけた、人面魚しかいない池に行くために。

異界駅(だと私が思っている駅)に行くのには、いくつか条件がある。

①前日の夜、おかしな感じがすること
②大小問わず怪我・病気をしていること
③最寄駅の構内を2周するとか、特定の香水をつける
 (これは駅によってさまざま)
④陦後▲縺ヲ縺ッ縺?¢縺ェ縺莠コ鬘槫揩繝ヲ繧ヲ繝ェ繧剃
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※危険なので詳しい行き方までは書かないことにする

昨日の夜、布団の中で目を閉じていたら、自分の手の大きさが分からなくなった。次に、自分のからだ全体が小さく、自分以外が大きくなっていった。
吐き気を堪えながら、「これなら明日は異界駅に行ける」と思った。

「ニネン駅」。この前行ったとき、看板の文字は文字化けしていて読めなかったけれど、車内のアナウンスではそう発音していた。
今日も同じように「次は、ニネン。ニネンです」というアナウンスが聴こえたので電車を降りた。

無人駅の駅舎を出ると、民家だけが並んでいる。ひたすら山の方へ歩いて、池のある廃寺を目指す。
濁った水の匂いがする。ようやく到着して近づいてみると、人面魚がみんな死んで浮かんでいた。

しばらくぽかんと立ち尽くしてしまった。でも、死んでいるものは仕方ない。池の前に座って、浮かんだ白い腹を見ながら鮭のおにぎりを食べた。

明日は月曜日。18日だから、出席番号8番の私はおそらく数学IIで当てられる。憂鬱だ。
明るいうちに帰りたくなくて、ポケットに入れてきた二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を読んだ。
著者が自殺することを知りながらこの本を読み進めているから、ページを繰るごとに彼女のことを死に追いやっているようで辛くなる。
カミュの言葉を借りれば、二階堂奥歯氏も、『アルゴノオト』の井亀あおい氏も、論理的な思考を突き詰めていった結果 死に、もしくは現実に追いつかれてしまったのだろうか。

あたりが薄暗くなってきた頃、音が外れまくった夕方のチャイムが鳴り始めた。「夕焼け小焼け」だ。
体も冷えてきたし、もうそろそろ帰らないと。

最後にもう一回死んだ魚を眺めてから、歩いて駅まで向かった。


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