「すべての(生きづらい)者たちへ」
映画『夜明けのすべて』をネットフリックスで鑑賞。ある事情から互いに生きづらさを抱える男女の関わりを軸に、現代社会が抱える(生きづらさ)を丹念に描いた群像劇。原作は瀬尾まいこの同名小説。
何よりも主演の2人(松村北斗・上白石萌音)が光っている。互いの生きづらさを理解し、尊重しながらも決してべたつかず、適度な距離感を保とうとする男女の機微を現代的に、それでいてクラシックな手法で描き出していく。
心の奥底では深く傷つき、寄り添い合える存在を求めているものの、近づきすぎれば(生きづらさ)によって余計に傷つけ合ってしまう……。微妙な距離感を保つ彼らの姿はまるで、「ハリネズミのジレンマ」のようだ。
主役の2人だけでなく、彼らを取り巻く人物たちの背景や(生きづらさ)も丁寧に掘り下げられており、群像劇としても非常に上質である。
ただ1点、気になる点があるとすれば、病気の描き方だろうか。
上白石萌音はPMS(月経前症候群)の影響により気分が時折不安定になるのだが、彼女の攻撃性を見る限り、PMSというよりもアスペルガー症候群に近い症状のように見受けられた。
PMSがひどいからといって、すべての女性が見境なく攻撃的になるわけではないだろう。
松村北斗のつっけんどんな描写もパニック障害の影響ということになっているが、発達障害(アスペルガー寄り)であるような印象を受けた。
私の勉強不足だとしたら、素直に認識を改めたい。