「実際会ってみると、話しやすいですね」と言われる理由
Zoomなど、リモートでしか話した事がない人に初めてリアルで会った際、「思ったより話しやすい人でよかったです」と言われる事がある。自分も相手にそう感じる事があるが、これは何故だろうか?
Zoomでの会話は対面よりも脳が活性化しない、とかテレワークから出社に回帰の傾向とか言われる。それはわかるが、少なくとも自分の場合リアルで知ってる人とリモートで話しても特段不便は感じない。でも、リモートのみで知ってる人にリアルで初めてあった時には何か感じるものがあるし、大抵はホッとする。
ここにリモートで失っている要素の本質があるのかも知れない。
よく言われるのが、非言語コミュニケーションの重要性だ。特に人間は相手の印象を視覚中心に判断する。
リモートでは、ちょっとした表示や体の動き、反応がつかみ辛いのでその分不安になる。だからリアルで会った時にホッとする。まあその通りだろう。
ただそれがわかったとして、じゃあどうする?
リモート時には、反応を大袈裟にする?
その分会話をカジュアルにする?
アイスブレイクの時間をつくる?
人間の視界はモニターよりはるかに広く、リアルの場合は、会話前後の情報もあるので、その程度で視覚情報を補えるとも思えない。さらに、相手によってはそもそもリアルで会う前提がないこともあり、この場合は潜在的な不安が印象として固定化されるかも知れない。
ならば、むしろ電話がいい。
言語、聴覚情報が、不完全な視覚情報に上書きされるくらいなら視覚情報を無くせばいい。
ちょっと前まで。ビデオ会議とかなかった時代。
電話でしか話した事ない人とリアルで初めて会った時に「こんな顔だったのか…」はあったが「思ったより話しやすい」は無かったような気がする。
遠隔で相手の顔を見ながら話せる事は、長らく人類の夢であったが、イコールそれが電話より優れてるとは一概に言えないのだ。
ナビを使い過ぎて道が覚えられなくなった。
携帯ができて電話番号を記憶できなくなった。
同様に、受け取る視覚情報が激増した令和の現代。我々はそれと引き換えに、限られた情報を想像で補う能力を失っているのかも知れない。