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『新型モデルのデザインが判明』 それは100%、キングオブタイトル詐欺。


Google検索アプリを開くと、検索窓の下にDiscoverと呼ばれる情報枠がある。ユーザーが興味を持ちそうな最新の情報を、検索しなくても表示してくれる優れものだ。最近はnoteの記事が表示される事も多い。Discoverには広告枠もあり、これが大変パフォーマンスが良い。他のバナー広告よりも検索広告に近い感覚で出てくるので、まあ当然だろう。実際クライアントに提案する事も多い。

そんなDiscoverも、出てくる情報の質はと言えばこれは玉石混淆だ。いわゆるタイトル詐欺的な情報も多い。そして私が、タイトル詐欺中のタイトル詐欺と密かに認定しているジャンルがある。

クルマの『モデルチェンジ詐欺』だ。

▪️クルマのデザインは、人気のコンテンツ

私はカーマニアではないが、そのデザインを見るのは好きだ。特に近年はヘッドライトのLED化により、デザインの自由度が向上。個性的で洗練された各メーカーのデザインアプローチを見ているだけで、何だか楽しい。クルマのデザインは、それ自体がちょっとしたコンテンツなのだ。そして私が特に好きなのは、実際所有もしているMAZDAだ。新車やモデルチェンジの情報には、当然の様に反応してしまう。で、これがほぼ100%タイトル詐欺なのだ…

▪️巧妙な広告文と、大幅に進化した予想CG


お約束のタイトルパターンはコレだ。

『ついに登場!マツダ新型CX-5フルモデルチェンジ発表!進化したデザイン、新エンジン、価格情報も公開!』

これは一見、フルモデルチェンジしたCX-5が登場したように見えるがそうではない。CX-5がモデルチェンジする事が発表されたと言ってる。つまりこういう事だ。

『ついに登場!(するよ、その内)マツダ新型CX-5フルモデルチェンジ発表!(されただけです)進化したデザイン、新エンジン、価格情報も公開!(されるよ、その内)

非常に巧妙だ。

そして、輪をかけて念入りなのはいわゆる『予想CG』だ。一昔前の予想CGは適度なチープ感があり、一目でわかったものだが、最近はこのジャンルでもAIが活躍しているのだろう。画像の精度だけではなく、そのデザインクオリティも非常に高い。その正規発表と見紛う程のサムネが、巧妙なタイトル文と合わせて表示されるのだ。新型のデザインを心待ちにしている私が思わずクリックしてしまうのも無理はない。

で、クリックすると大抵はYouTubeに遷移する。これまた巧妙で、サムネのデザインは動画の冒頭では出てこない。少しでも視聴時間を稼ぐ為に、中盤以降で登場するのだ。その間は『予想CGのボツ案』らしき画像が、お決まりの機会音声と合わせてダラダラと流される。当然、真面目に最後まで視聴する事はない…

しかし、Googleさんは私がこの手の記事に関心を示したという事実を見逃さない。

毎日のように出てくる。

『2025年マツダ新型CX-5 はカッコいいぞ!(多分)フルモデルチェンジ最新情報…』

『新型マツダCX-5はこの(予想CGの)デザインで売れる!(仮の話ね)ハイブリッドも確定、価格は〜500万程度!』

『マツダCX-5次期型、(最新の予想CGが出たという)スクープ情報にSNS「マジで(このCGは)気合いを感じる」、ボディ拡大予想の反響は…』

揃いも揃って、非常に巧妙だが流石にここまでくるとタイトル詐欺だという事は学習できる。

でもクリックしてしまうのには理由がある。
いつか本物が出るからだ。

▪️本当のデザインを、一刻でも早く知りたい

MAZDAはどのみち、発売前に正式な発表会を開催するのだから、そのニュースを待てばいい。それまでに出てくる情報は、ほぼ100%タイトル詐欺なのだから、無視すればいいだけの話だ。しかしこの、ほぼ100%というのが悩ましい。

出るのだ。
正式な発表会に先駆けて、本物のスクープ情報が…

それは、CM用の撮影シーンのリークであったり、姿が分からない様に偽装されたテストカーの目撃画像から推測したCGだったりする。その姿は、後にお披露目される本物とほぼ同一だ。それを見逃したくない。本当のデザインを、一刻も早く知りたいのだ…

今日もDiscoverにCX-5の情報が出てくる。どうせ今度もタイトル詐欺だろう。

『ついにスパイショット激写。新形CX5のデザインが超未来的?マツダの新デザインがほぼ判明』

激写?テストカーが目撃されたのか?しかもほぼ判明とは…これは待ち焦がれた本物のスクープではないか…。動画の下には予想CGに対する賞賛のコメントが見える。何々?プロのーカーデザイナーが実際のテストカーの写真からモデリングしただと?確定だ。このデザインが限りなく本物に近い事は、状況から考えてまず間違いない。しかし、問題がひとつある。

『カッコ悪い』

そのフォルムからはMAZDAのデザイン美学は微塵も感じられない…。ヘッドライトの意匠もありきたりだし、私が特に重視する全体の均整も、破綻している。

そんな筈は無い。
これが、待ち焦がれた新型CX-5 である筈がない。

タイトル詐欺だ。

フルモデルチェンジの情報は、ほぼ100%タイトル詐欺だと思っていたがとんでもない。

完全に、100%タイトル詐欺だ。

それは、タイトル詐欺中のタイトル詐欺。

キングオブタイトル詐欺だ。


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