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いいちこ『20度』の素晴らしさを、世の人々はほとんど知らない。

『いいちこ20度のファンが増加中!度数の違いだけでは無いって、知ってましたか?』

その商品説明が目に留まったのは、たまたま立ち寄った酒のディスカウントストアだ。私のレギュラー焼酎である『いいちこ25度』を買おうとして、隣りにある『いいちこ20度』のPOPに気付いた訳だ。

しかし、度数の違いだけでは無いとはどういう事だろう?足かけ25年以上『いいちこ』を飲んでいるが『20度』は試した事がない。どれどれ…

「いいちこ25度」と「いいちこ20度」は、原酒のブレンド比率が違うんです!「20度」は、うまみ重視の原酒の比率を多くしており、味わい深さとまろやかさが特徴です。ロックで飲む方は、是非一度お試し下さい!

『え…?』

もう、買ってみるしか無い。

本格麦焼酎『いいちこ』は不動の人気No1


日本で一番有名な本格焼酎は、誰が何といっても『麦焼酎いいちこ』だろう。現にスーパーで『いいちこ』を置いていない事などまずあり得ないし、置いてるスペースも一番広い。同じく本格焼酎の『黒霧島』とは人気を二分するが、あれは芋焼酎だ。そして、この『いいちこ』は、ほぼ必ずアルコール度数25度と20度の両方が売り場に並ぶ。にも関わらず、私は『いいちこ20度』を一度も試した事がない。そしてその事を、私はいたく後悔する事になる…

▪️いいちこ20度は、ロックかストレートがおすすめ


早速家で『いいちこ20度』を試してみる。飲み方はPOPのおすすめの通り、ロックだ。確かに『25度』とは、明らかに違う… 極論、他の焼酎といっても差し支え無いレベルだ。そしてウマい。POPの記載通り、度数が低い分まろやかで飲みやすく、25度よりうま味が深い。

悔しすぎる。

私が長年ロックで飲んできた『いいちこ25度』のおすすめは、メーカーの三和酒類によると水割りかソーダ割りとある。そして『20度』のおすすめは、先ほど試した通りのロックかストレート。大分や宮崎では、20度を割らずに飲むのが主流なのだ。つまり私は25年もの間、『いいちこ』本来の楽しみ方を知らなかった事になる…

▪️いいちこ20度は、25度よりも実はお買得

次に悔しいのは『いいちこ20度』が『25度』より価格が安い事だ。1.8Lで約100円安い。そして私は当然をそれを知っていた。知らなかったのはその理由だ。20度の方が、25度より酒税が安いのだ。それを知らない私は、単に『薄い』から価格が安いと思っていた。ロックを好む私にとって、たとえ100円安くてもわざわざ薄い下位互換品を購入する理由はない。私は、本来の味をこれまで知らなかったばかりか、金銭的にもかなりの損をしてた事になる…

▪️いいちこ25度も、結局は『薄めた』ものだった

もう一つの後悔は、私が頑なにロックで飲んできた事そのものだ。せっかくの本格焼酎を水で割るなど軟弱で、それこそ『ロック感』に欠ける。私は焼酎をロックで嗜む自分がイケていると思ってたのだ。しかし『いいちこ専用サイト』の説明にある原酒とやらを調べると、そのアルコール度数は44度。私が薄めずに飲んでいたつもりの25度も、実は既に水で薄めたものだった…

つまり私は、もともと水で薄められている『いいちこ25度』を水で薄めない為にロック飲みを貫いてきたことになる。しかもその『25度』はロックよりも水割りの方が向いており、そして本来ロックに向いている『20度』より、価格も高かったという訳だ…

これほどまでのすれ違いがあるだろうか?
何故私は25年間も、このことに気づけなかったのか…



「という訳でさ、本当に『いいちこ20度』が美味しいんだよ…」

私は一連の経験を、行きつけのバーのマスターであるユキエさんに話している。私のような思いをする人を作らない為には、地道に啓蒙するのも知り得た者の務めだ。

「へえ?そうなんだ…。私は『いいちこ』飲まないからわかんないけど…」

「そういえば、この店には置いてないの?いいちこ20度。絶対人気になると思うけどな~」

「あっそういえば。カウンターには置いてないけど、確か奥にあるよ。ロックで出そうか?もうビール終わるでしょ?」

おお、ついに店でも『20度』を試す時が来たか…

「はい、どうぞ」

並々と氷を張ったグラスから、いいちこ20度ならではの香りが立ち昇る。そして口に運ぶと、やはりウマい。『いいちこ』らしさを残しながらも、まろやかでかつ、うま味が深い。やはり20度がロックに合うのだ。20度が…

「やっぱり20度、美味しいよ…ユキエさんも試してみる?」

「あれ、ひょっとして気づいてない?」

「エっ?」

「やっぱり20度は無かったから、いつものやつを出したのよ。いいちこシルエット。えっと、これは25度だっけ?気づくかな~と思って…」

成程…

ワンランク上のいいちこシルエットと、区別がつかないとは大したものだ。

私の味覚は信じられないが、これだけははっきり言える。

『いいちこ20度』は、最高だ。



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