見出し画像

年明けうどんより、メリクリうどんの方が良かったこれだけの理由

帰省の度に感じるが、実家の両親の就寝時間は年々早くなっている。高齢になると夜更かしも億劫になるらしく、大晦日の今日も例外ではない。紅白を見終わる頃合いに年越しそばを作ってくれてた母は、すでに床に入っている。

それでも年越し気分を楽しみたい私と子供達は、母が買ってくれたどん兵衛に湯を注ぐ。すでに時間は年越しの30分前。

出来上がりを待つ間パッケージをぼんやり眺めてたら、ふと思い出した。


そう言えば「年明けうどん」って、どうなった?


年明けうどんは、讃岐うどんを初めとした日本国内における名産うどんの活性化やうどんの消費拡大に貢献すること、食品業界関係で正月における新たな利益・経済効果を生み出すことを目的として讃岐うどん業界を中心に2009年正月から展開されているものである

wikipedia

2009年ということは、もう15年も経つのか。

確かに当時はスーパーのチラシにもこぞって年明けうどんが載っていた。「うまいことを考えるな」と感心したのを覚えている。
でも自分は一度も年明けうどんを食べたことがないし、その存在を思い起こすこともなかった。
どん兵衛でそれを思い出したのは、どん兵衛うどんのパッケージに「年明け」と記載されてるのを見た記憶があっからだ。あれは今でも毎年やってるのだろうか。

いずれにせよ、一般の習慣として定着してないのは間違いない。

これを仮に失敗とするならば、何が要因なのだろうか?

大きなお世話だろうが、考えずにはいられない。



結論から言えば、戦犯は「年明けうどん」というネーミングそのものだと推論する。

年越し←→年明け
そば←→うどん

というのは語感としても、意味の整合性としても上手く出来すぎている。

企画段階でこれを聞いた関係者は「これだ!」と全員納得した筈だ。このネーミングが秀逸すぎた為、対象期間は正月ありきになってしまった。

しかし冷静に考えればわかる筈だ。
雑煮という伝統的な汁物ライバルを、ポッと出の年明けうどんが退けるのは無理筋だ。 

企画者もそれをわかってたのだろう。
だから対象期間を1月1日から15日と半月まで拡大した。

この時点で失敗は始まっている。
「年明けうどん」のポイントである、年越しそばとの対称性が崩れてしまった。「半月いつでも」と「大晦日一択」では勝負にならない。

もちろん企画者も、そう思っただろう。年明けうどんでなくても、うどんは半月に一度くらいは普通に食べる。そこで彼らはさらなる失敗を重ねる。
年明けうどんを普通のうどんと区別する為、余計な定義を設けてしまったのだ。

形式:純白のうどんに1点、新春を祝う「紅(梅干しや金時にんじんの天ぷら、赤いかまぼこなど)」を用いる

wikipedia

当然だが年越しそばにこのような定義はない。ただでさえ分が悪い年明けうどんは、自らそのハードルを上げてしまった。

もう、初めから「年越しうどん」にした方がまだ普及しただろう。蕎麦が大して好きでない人や、アレルギーを持つ人はそれなりにいるのだから。

それで蕎麦業界と軋轢が生まれるというなら、年末年始以外にした方が良かった。上記の理由以前に、そもそもうどんは和食であるが故に、正月との組み合わせに違和感がなさすぎる。だから余計に印象に残らないのだ。

その点、某メーカーの名CMコピー

「おせちもいいけどカレーもね」

は非常に戦略的だ。おせちとカレーは似ても似つかない上、おせちはそもそも子供達に人気がない。

年明けうどんの目的が「うどんの消費拡大」であるならば、正月期間にこだわる必要は無いのだ。

そう、
クリクマスに「メリクリうどん」の方がまだ良かった。

キャッチコピーは
「チキンもいいけどうどんもね」

これはこれで秀逸だ。

うどん業界の方には、是非一考して頂きたい。

いいなと思ったら応援しよう!

まし  |  言葉の何気なインサイト
気に入っていただけた方は、応援お願いします!