「幻想楽園」 詩:本多裕樹
「幻想楽園」
あてどなく迷い
風のさわやかなそよかぜの
みめうるわしくある乙女
気まぐれなあばた
遠くにきえし夢あれば
果てにある幻想がわれをなやまし
毒の入った盃を飲み憂鬱におそわれ夢心地
そいつは緑の妖精が誘惑した酒で
私は歓楽の世界に脳は旅する
名画を眺め、酒を少しずつ舐め
愚かな自分を慰めるただ、闇の照明
気はどこにあっても舞台の女子
酒を飲み、その舞台の闇を眺めどこまでも吸い込まれていく
果て、
そいつを求めた
限りなき闇に消えゆきたい疲れた精神は
妖精天国を夢見たものだ
幻想を夢見て、愚かにも酒に酔い潰れる
私はどこにいくのか
どこに未来があるのだろうか、人生という牢獄に
そこを抜けたことろには何も無いただ、今を
今を懸命に生きて、光明が見えるまで
宝石を探し求め、石を砕いていく いつか
さんざめく地獄の血から幸福の予感も感じることができるだろう
お前さんはここでお仕舞いか?
果てに逃げても私たちはいる
道はどこまでも続く桜の林立に
花びらの落ちゆく姿が火になって落ちていく
大地は火の燃える世界になって血で流れ染まる
理解に苦しむ人はただ洞窟にあって、ある光
知恵が光となって蜘蛛の糸が吊るされる
仏の心もわずかな知性を下すのみで
我ら愚鈍な悪鬼たる精神は知恵で清まる
死骸に生命を
時の終わりに再生を
日々に雨を降らせたまえ命を救いを
蒼天のある日々に思い
影の下に我らはあった
どこにありども静寂の訪れるのをどこまでも
時の果てを夢見ても出口も無いものである
星の煌びやかに燦然と、太陽と月
それを私は見て
かすかな幸運を開眼し、なが夢の光を見出した
時は果てに何があったか
夢だったか、
眠りこそ、我らの希望で
安らかなベッドに夢で天上を旅したのだった
妖精たちの囁きが春のなげきとなり
我は酔いにまどろみ幸福であった昼の眠り
時の果てに、私たちは月を眺め自ら立つのだ
終わりなき夢
終わりなき夜
時の果て
月の始まり
私たちの幸福を
願う
祈りに消えし、我らの苦悩を
2024年11月17日