
睡魔のまどろみ」 詩:本多裕樹
「睡魔のまどろみ」 詩:本多裕樹
どうして君はそんなに顔が見えないのか
影に隠れて
月の満ち欠けされあらば時に消える
あられ見れば世の終わり
時の影に身が消えれば黄泉もまた楽し
終わりの日をば夢見ては
どこも、お前の居場所は無かった
ただ、流浪の人にて、財宝を抱えている
孤独がその財宝で時間をお前は持っていた
誰もそれを奪うこともできなくて夜の月が照る夢見る
どことなく哀れに思う少女
お前の影はどこからきたのかい
果てなく終わりなく無限に際限なく
君の目をば見つめて虜にしようとした
だが、君は私を食べようとその肉体を泉に投げた
泉の中は死海のごとく辛かった。それは肉体の塩分だった
天空の夜空は星で満ちている
君はどこに行ったか拝見し月の果てにあるかと思い
時の果てを探しに飛翔した
泉の底にまた空があったからだった
そうしたら、幻影の中でお前を見た
君は私を見た
私も君を見た
それはかりそめの夢であり幻だった。
ネクターを口の中に注ぎ酔い酩酊に感じた預言者のように
我らの夢を開陳した
世界がそのまま現出し、宇宙そのものが見え
銀河の数々が我らの夢に出現した。あの女だった
死は無かった
だが、この世界の者にとっては亡き者か
生と死は壁だ
そこを越えることはその世界に行くしない人生を終わらせ
世の終わりを恐れたか
しかし、生きよ
醜くも、愚かであっても、無能であっても
人生は愚かな事だ。穢れから神が生まれたように
少女の影が私を襲う。死んではならないと
死は封じられ
私は苦悩した
生きるしかないと、生きて恥を表現せよと
もう、あの女子は会えないのか
あの女史はどこに行った
みんなあの世に旅立った
私だけ、ここにいる。生きている。
いつしか、人生の楽しみは食べることになっていた。
食事が楽しみで
美味いものに投資し
消費する、食物を、資金を
いつしか、人生の楽しみは酒に変わる
自分を忘れ、酩酊の中、忘却される今を
ただ、生きるのも面倒で
寝ることで現実の苦しさを忘れる
人生の盛りも終えて、少女も女史も消えていく
生と死の壁は壊れない
どこか、秘境に行こう
そこで啓示を受けて、現実を忘れよう神々も沈黙するか応えるか
神々は沈黙することがなく
様々な、良きことが減少した、それは夢か
私はようやく立つと決めた
終わりの日は終焉の時において私の輝く瞬間であるから
デルポイの神託を受けに、社に行く
奇跡はあるものだ
富はあり、幸福もある
ネクターを飲み今日を生きる
昔の恋もあったろう
しかし、今は今で生きなくてはならない
生きて恥もかき
愚かにも、醜くも、懸命に生きればいい
そう、私は女史のかつてあった存在を夢見て
それを信仰しているのかもしれない
私の女神だった
あらゆる美の存在のパズル
だが、これも幻想で
幻の夢
アヘンの夢
睡魔のまどろみであったことを
2025/02/15