「白き世界」 本多裕樹 詩
「白き世界」
あるのは闇の中へ
すべてはそこに消えていく
あるのは闇へ
あなたに、暗黒の衝動が
やってきて
あるのは闇の中へ
すべてはそこに消えていく
あるのは闇へ
私に、暗黒の思いがやってくる
空は月が白く照っている
それはまさしく月であった
月からやってきた者たちは
そこにいて
ここにいる
心に響く、のは
心に響くのは、
心が心を知る時だ
若い人の魂は生き生きと
喜びと悲しみが
喜劇と悲劇がくり広げられる
あなたには悲劇がふさわしい
あなたは喜劇に酔ってはならない
人生に悲劇の多い者は成長する
薬によって現実を忘れれば
落ち目にあう
それはあと何十年かに現象する前に
自らに厳しくし
修養をせよ
しかし、歳を重ねるたびに
自分を厳しくすることをゆるめよ
あとは、安楽に生きよ
あなたが一番輝いているとき
それは戦っている時だ
人生の問題と対峙している時だ
それは恋愛かもしれない
それは仕事かもしれない
それは家族問題かもしれない
何にしろ、輝いている時は戦え
人生の諸問題という壁に立ち向かえ
それが終われば
老いと衰退
何も楽しみがなくなり
落ち目にいく
そうなれば老いだ
安楽に暮らせ
過去の栄光を酒の肴にして
過去も宝箱に入れて
新しい人生を創造するのもいい
何にしろ、
戦いの時に、火花を散らし人生を生きよ
一つの真剣勝負が
そうして忘れて消えていく
闇の中に放り込み
白き月を眺めながら、一夜を終わらそう
黄泉があなたにやってきて
安楽の白き世界に導かれんことを
ただ、祈る
ただ、
2022年8月15日