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瞑想入門 ⑪

アチャン・チャー

 中には、思考や感情というものを全否定する人もいますが、それは行き過ぎです。私たちの心が静まり、穏やかな時にも感情は生じます。心の静けさと、感情というものは両立するものなのです。心が静まっているときに生じる感情には、害はありません。問題は、「鶏」が「鳥小屋」から逃げ出したときに生じるのです。例えば、呼吸を観察する瞑想をしていたとしましょう。最初は呼吸に集中していますが、そのうち退屈になって、心がさ迷い始めます。そして、家のことや買い物に行くことなど、様々な妄想を始めてしまうのです。そのような時は、瞑想実践をしていたことを思い出し、気づきサティを失っていたことを自覚するまでに、三十分もかかってしまうかもしれません。ですから、私たちが本当に注意しなければならないのは、鶏が鳥小屋から逃げ出してしまうこと、言い換えるなら、心が静けさという家から離れてしまう瞬間なのです。
 
(続く)

アチャン・チャー『Living Dhamma』より
 
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .
 

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星 飛雄馬
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