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梅雨の体の露払い

今年の梅雨はやらかした。
元々梅雨は好きじゃない。誰だってそうか。
しかし、六月の後半から七月にかけ、本当に具合が悪くなって自分の治療院から自宅に帰れなくなり、そのまま泊まる羽目になったりした。
(そんな時でも「すごいしんどい…こっちに泊まっていい?」とメールすると「大丈夫?お大事にしてよ。」と嫌味なく返事をくれる妻に、本当に感謝してる。)

梅雨時は毎年調子の悪い人が多発する。
春からの不調を引っ張る人、連日の雨模様と低気圧に沈む人、中でも「湿度で体調を崩す人」が大変多い。

湿気は東洋医学的には湿邪という。
体の中に必要以上に水が貯まり、それを輩出することができずに各所に不調をきたす邪な湿気だから湿邪。これが体にあると、手足がむくんだり重く感じられ、頭も重痛くなったり、めまい、立ちくらみ、お腹の気持ち悪さなどに悩まされる。体の水分が過剰になりすぎて停滞するので、蓄膿症や膝に水が貯まるなど、鼻や関節に症状が出る人もいる。中には「雨降りの朝、布団から起き上がれない」なんて人も。
今日は自分でできる湿邪のチェック方法と、対処法を紹介してみる。

湿邪の有無は、舌と便で判断できる。

舌を「ベー」と出して、ベロの端に歯の跡がついていたら要注意。余分な水分で舌がむくんでいるサイン。さらに舌の表面に苔状の白いものがついていると、湿邪が体を冷やしているサイン。苔が黄色っぽかったら、逆に熱がこもっているサイン。

あとは便。汚い話だが、便には体内の情報がたくさん残されている。
色形ニオイなど、自分の状態を把握するうえで、普段から便や尿を観察しておくことをおススメする。いつもと大きく違っていたら生活を省みよう。

泥状の柔らかい便や、そこまでいかなくても便器にこびりつくような粘性の高い便が出るときは、体内に湿邪が停滞していると考える。あとは便やおならのニオイが臭くなりやすいのも湿邪の特徴。

湿邪が体内にあるのがわかった。体調が良くないのも感じてる、そういう人はどうするべきか。
ポイントは3つ。

1. 食生活を見直そう

アイスクリームや冷たすぎる飲み物、食べ物を食べすぎていないか。
湿度が高いと、体温はさほど上がっていないのに、暑く感じやすい。つい冷たい食べ物や飲み物を口にしがち。冷たい食べ物はそのまま胃に運ばれ、胃が冷えすぎて機能低下に陥る。東洋医学で胃は、体の水分を運び、調整する臓器とされている。胃が弱ると、湿邪に負けてしまう。
梅雨時はあえて熱いものを食べたりするのも効果的。
鍋やきうどん、おじや、しゃぶしゃぶなど、消化に良くて温かいものを胃に入れると、汗が出て逆にスッキリするので試してほしい。

あとは、甘いもの(砂糖)と油ものは、胃を弱らせ、湿邪を呼び込みやすい。湿邪でしんどい時は数日間くらい砂糖と油ものを控えるといい。

2. 汗をかこう

筋肉を動かして汗をかき、体内の余分な水分を飛ばす。前の項の食生活の見直しと両輪で行うと、体の内側と外側から湿気を追い出せるのでより効果的。
運動が苦手な人、人並みに動けない人でも、そういう人はちょっぴり動くだけで汗が出るはず。
汗が出る程度に動けばそれでいい。たくさん汗が出なくてもいい。筋肉を動かして温め、水分を輩出する流れを作る。

3. ちょっとだけ多く眠ろう

胃腸や体の水回りを整え、正常にするために、とりあえず30分でも多く眠る。ただでさえ睡眠不足は体がだるくなるが、湿邪の影響が加わると、それはもうスーパーな不調を引き起こす。

あと湿邪だけじゃなくて、世の中にある「体調が良くなるメソッド」「美しくなるエクササイズ」「キレイになる食べ物」なんかの類は、全部、すべて、ひとつ残らず、睡眠が不足していると効果が半減してしまう。
身体に関することで、睡眠を取らなくてもいいもの、睡眠の代わりになるものは今のところ発見されていない。
どんなに効果的な健康法も、寝ないと意味がない。逆に、しっかり寝ていると、簡単な健康法でもバッチリ効く。ちょっとでいいから、余分に寝てみよう。

以上、3つのポイントを守っていれば、体に湿気が溜まっておきる不調は徐々に回復していくと思う。全部一度に完全履行しなくてもいい。
ちょっと試しに挑戦してみるだけでも、効果はあると思う。

おまけ

一般の人はツボの名前や場所を羅列されても、ピンとこないし正確な場所もわかりにくいし、ストレスになるだけなんじゃないかと僕は思ってます。
本来ツボは人それぞれに位置も微妙に違うし、一般の人には扱いが難しすぎる。ネットや本で紹介されてるツボを押してみて、本気で効果があった人、どれくらいいるんだろう。ここでツボを事細かに説明することには疑問を感じます。
ただ、セルフメンテナンスの手掛かりは提案したいので「だいたいの場所」と「どうなふうに刺激するといいか」というざっくりしているけど、効果がありそうな解説を加えておきます。

また、上で紹介した3つのポイントをクリアせずにツボだけ刺激しても、なかなか効果はありません。ツボはある意味「魔法」ですが、体にツボ刺激を受け入れる土台がないと魔法の意味がないのです。逆に、3つのポイントをある程度クリアしていれば、絶大な効果が期待できると思います。

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湿邪に効くのは、主に足の膝から下。スネの内側の骨際を、膝下から内くるぶしまで触って、ぶよぶよしている部分や凹みのある部分、他より冷たい部分、痛みの強い部分などです。そういう違和感のある場所はだいたい「ツボ」です。

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あとはこのイラストを参考に触ってみてください。
足の内側の、ショートソックスの跡が付くあたりとか、アキレス腱と内くるぶしの間とか、内くるぶしの下とか、親指の付け根で骨の出っ張りがあるあたりとか、親指の爪の付け根なんかに、他と比べて痛みや違和感、冷たさを感じる場所があるはずです。
違和感のある場所を見つけたら、指や手のひらでゆっくり押してみてください。表面の接触刺激だけじゃなく、奥の方にズンと響くような感覚や、皮膚の下にある硬さを発見したら、ヒット
その場所を指や棒で押したり、温めたり、お子さんやネコに踏んでもらったりしましょう。温めるのは、熱めのシャワーや、薬局などでせんねん灸を買ってきてもいいでしょう。1箇所だけではなく、最低でも2-3箇所はそういう場所があるはずです。見つけて刺激をしましょう。自分の気持ちがいい、好きな刺激でいいのです。

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スネの外側で、膝と外くるぶしの真ん中あたり。外スネの筋肉のカーブでいちばん盛り上がった部分も、湿邪に効果があります。
立ち仕事で足がむくんでいる人などには効果絶大なので、家族やネコに頼んで強めに押してもらいましょう。僕は子供に踏んでもらったりします。

おまけ(その2)

ここから先はマニアックなお話になります。どちらかといえば治療家向け。
上で紹介した湿邪を取るのに有効なツボの詳細や、僕が普段使っている治療のテクニックなどを書いていきます。一般の方は先程までで十分湿邪と戦えると思います。(こういうツボの詳細には、あまり一般の人には需要がないと思ってるのですが、それを確かめる意味であえてここから先は有料記事にさせてもらいます。)
若くて経験の浅い治療家さんなんかは、参考になるかもしれません。

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