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30日目スペイン・ポルトガル 3,000kmのロードトリップスペインベテラン撮影コーディネーターのぶらり旅
30日目
早いもので暦は8月に入り、旅に出てからもう30日が過ぎた。今日は10年振りにPさんを訪れる。早めに出て、行きは有料道路を使わず、海を眺めながらカンバロという元漁師町に行く。ここはすでにリアスアルタ。オリオという食糧庫、クルセイロという十字架、カラフルな漁師の家が特徴の、岩の上に建つ小さな村。旧市街入口の夾竹桃のスペイン語の名前を聞かれ、直ぐに思い出せずにいたら、近くに立つ男性がアデルファだ、と教えてくれた。毒があってロンダにローマ人が攻めてきた時、女性達がこの植物を入れた料理を食べさせて苦しめたそうだ。へぇー。
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クルセイロは巡礼者を守るために建てられているが、昔村人が巡礼者と目が合うと次に村で亡くなるのは自分になるというジンクスがあったので、目を手で隠して外を見ていたとか。(笑)小さな村をあちこちウロウロして、奥まで行ったら引潮の浜に出て、村を海側から眺めて散策。漁師の家は遠目に見ても分かるように、船と同じ色に塗られているそうだ。
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次は10年振りにPさんをサンシェンショに訪れる。海はすごい人出。ここはこの辺一の高級リゾート地。マドリッドからもたくさんの人が来る、大きな別荘の多い所。
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少し内陸に入った所にある家の場所を思い出しながら、たどり着く。車を停め、2階に声をかけながら上がっていく。感動の再会。私が来た年にご主人が梯子に登ってブドウ畑の手入れをしていて、転落。頭を打ち、その後数え切れないくらい色んな病気も出て手術や入退院を繰り返し長い闘病の末Covidで亡くなられた。Pさんは看病が大変だったから、痩せて一回り小さくなった。でも相変わらず広い家はどこもきれいで、庭や畑も手入れが行き届いていて素晴らしい。
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キッチンには私の好物の塩鱈と干しブドウのエンパナーダが焼けていて、アサリとあんこうの煮込みの好い匂いが漂っている。息子のGと連れ合いを待つ間、まずは畑や庭をAに案内してくれた。スペインでは人を家に呼んだら、家を全部見せて歩くのが礼儀なのだ。スイカ、メロン、りんご、アボガド、桃、ピーマン、なす、トマト、レタス、西洋長ネギ、豆類等が元気に育っている。火曜日からは長男一家がコルドバからやってくるから、賑やかになるだろう。
GとRが2時過ぎにやってくる。昨夜は2:30まで祭りに行っていて、子供達の帰りを待って寝たのが4:30で、出足が遅れたと言っていた。これもスペインらしい夏の光景。しかし彼らはお酒を飲まないので、二日酔いではないから、まだマシかも。
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皆で手際よくテーブルをセッティングし、各自がパンやエンパナーダを切ったり、私達の為に村で絵を見て話していたガリシアのアルバリーニョのワイン用の白い陶器の器と、よく冷えたアルバリーニョを出してくれた。この器で飲むとワインが冷たいままで、陶器の丸みの口当たりもよい、そんな優れた器なのに、昨今全然見かけなくなったのは残念。Pは赤ワインをコップで一杯飲むそうだ。エンパナーダはその後色々食べてみたが、やはり私の記憶通り、彼女のが一番。最高だった。デザートには以前食べたビーゴ名物のトルタをGが買ってきてくれた。彼はトレイルランニングが好きで、毎日5kmは山を走っているそうで、すっかりアスリート体型になっていた。左官の仕事にトレーニング、旅行者に家を貸しているので、その管理とアテンド、お母さんの家に来るとto doリストがたくさんあって忙しい。でもRというパートナーもできて幸せそうだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、次は10年ではなく、もっとすぐ来るように、と念をおされて帰路に。ご主人に会えなかったのは本当に残念だが、お二人共元気で再会できてよかった。