36日目スペイン・ポルトガル 3,000kmのロードトリップスペインベテラン撮影コーディネーターのぶらり旅
36日目
今日はカラスピオビーチに行く予定。出発前にバスク料理のマルミタコの仕込みをしていくので、手伝いながら作り方を学ぶ。これはバスク地方の伝統料理。Anaはお母さんから学んだ。みじん切りの玉葱をオリーブオイルと少量の塩と弱火にかけて、柔らかくなってきたら大きめに切ったグリーンピーマンを加える。その間に大量のじゃがいもをむき、包丁をちょっと入れて割るようにすると、味がよりしみ込むそうだ。これを加え、チヨリセーロと言う乾燥ピーマンを戻して果肉だけそぎ取ったものが瓶詰めで売っているのでこれと塩を加え、浸るほど水を入れ、じゃがいもが柔らかくなるまで煮る。私達はその間支度をして、出かける前はここまで。
彼らは忙しくて海はまだ3回目だという。今はサン・セバスティアンの演劇学校の学生の為にジョキンの脚本と演出、アナの演出助手と衣装でお芝居の稽古をしているそうだ。途中引潮で島に行く道が見え始めていた。キリストが歩いたのもこんな道の上だった?
穏やかな海で水もとてもきれい。彼らの友人達も自然と集まってきて楽しく過ごす。帰りは引潮で海岸沿いに隣の海岸を通過して近道して戻る。
途中広場の市で私達はこの地方のチーズを3種、彼らはパンとバスクケーキ、イヤルサバルと言う有名なチーズを使ったバスチーを買う。
この辺りではビーチの後にバルでチャコリというこの地方のワインをヒルダというピリ辛の青唐辛子のピクルス、テーブルオリーブとアンチョビのピンチョスと楽しむのが習慣だそうだ。よく冷えたチャコリは確かにおいしい。
帰ってビンナガを細く切り、鍋に加えて火が通ったら出来上がり。メニューはガスパチョとビンナガのマルミタコ。そしてバスク風パンに汁を浸して食べる。さっぱりしていておいしい煮物。デザートにバスクケーキ。彼らはクリームの伝統的なものを買ったはずなのに切ったらチョコレートとナッツの方で、がっかりしていた。(笑)
昼寝をして午後の散歩。旧市街の中心地、最も古い地域に行く。まずはバシリカ。ここは近隣のいくつかの村を取りまとめるビージャというカテゴリーなので、教会もワンランク上のバシリカ。その上は県庁所在地の大聖堂、カテドラル。
途中で長男が来ていたTシャツのデザインを見かける。村には若者が必要 というスローガンのもと今日は村の若者デーで、広場でケータリングの食事の後皆で大合唱して盛り上がっていた。村にいつも住む者と、夏はいつもすごす者たちが皆で1日中色んなイベントをやるそうだ。最後は夜中の3時のパンツ競争。ズボンをパンツが見えるくらいまで下げて、走るそうだ。(笑)
バシリカにはアナが子供の頃担いだというミンゴリという悪魔と骸骨の山車があった。面白い。祭壇は15世紀後半のバスクゴシック様式の金色の木彫。すごく立派。屋根や柱の様子はガウディも取り入れた美しい曲線。主祭壇の周りにもたくさん祭壇があり全体的にとても豪華だ。アナの両親が結婚式をあげたという祭壇を教えてくれた。
近くの建物にアナが入っていくので着いていくと、修道院の立派な礼拝堂。石の周りを黒く縁取りしているのが珍しい。
この辺りは19世紀頃の屋敷が多く、この一帯には1888年に作られた公共の水道があちこちにある。この街が富んでいたことを表しているようだ。大きな屋敷の騎馬隊だった所がプチホテルになっているので、コーヒーブレイク。趣きのある古い建物を上手に使った知る人ぞ知る、素敵な場所。ここでも彼らの友人に遭遇。
港の反対側のコンサート会場に向かう。アナは高齢のおばさんとお母さんを介護する人が週末で休みなので、夕飯の介助をしておばさんを寝かしつけて合流するという。えらいなぁ。
8:30開演。皆ビールやカクテル片手にあちこちに座って楽しむ。60前後のバンドでボーカルの女性はタンバリン、ギター、バイオリンも弾く。他のメンバーもフルートやハモニカ等多才で、80年代の名曲と、時々バスクロックの曲を交えて演奏。観客は子どもから大人までみんな楽しそう。1時間半ぐらいで惜しまれながら終わる。
夕飯を食べに街に戻る。しかし昨日のバルで今日が誕生日の友人と出会い、その人が皆に一杯ごちそうしてくれて、しばし歓談。引き続き探すが土曜日の夜でどこも一杯。ようやく座ったのに料理を出すのに後50分かかると言われびっくり。遂に1軒見つけて、注文。やれやれ。生ハム、トロのツナと赤ピーマン、ホワイトアスパラサラダ、アンチョビと青唐辛子と白ワインで夕飯。夜中までバスクらしく過ごす。(笑)