認知症の母日記 入院編4
2024年10月22日(火)
リハビリの病院へ面会に行ったら、母はなんだかすごくしょんぼりした感じで、声がかれていた。
こっそり看護師さんが教えてくれたことには、母は怒鳴ってしまい、声がかれてしまったそうだ。夕方になると不安になる母。夕暮れ症候群というらしい。声がかれるほどとは……。かわいそうになる。
以前私が描いて、母に渡したぬり絵があった(行方不明になっていたのだが、出てきて嬉しい)。母が時間をかけて重ね塗りしてある。紙を裏返したら、色鉛筆で書かれた字が並んでいた。母の字だ。
ガンバレー
ガンバレー
ガンバレー
と、5回繰り返し書いてある。そして、他にも薄く書かれている文字にドキリとする。
病院
病院
病院
うるさい一日
そして、ガンバレーの一番下に、自分の子供の頃の呼び名が書かれていた。
ガンバレー
〇〇チャン
なんだか感動してしまった。そして、母がかわいそうになった。
明後日、転院する事は忘れているから、また説明した。
ルーティンで、母の顔に化粧水をつける。母は目をつぶって、自分でもペタペタする。「いいわよぉ」なんて言いながら。
お腹のところを痒がったので、装具を外しリハビリ用ウエアをめくってあげて、乳液は母に塗らせた。
洗濯していった靴下を見せたら、靴下を履き替えたいと言うので履き替えさせた。車椅子に座っている母は、自分では届かない。
入院 110日目。
母はじれったくて、足をバタバタさせたり、握りこぶしに力を入れたり抜いたりする。わかるわかると同意してあげる。実際もし私だったら、本当に辛いと思う。
「あたしだけ変化がない」
母は言う。こういう時は、認知症になる前の母の思考が戻ってきているのだと思う。
「忙しいんだから、あんまり来なくていいのに」
こういう風に言ってくれるのも、そう。
車椅子から立ち上がったりするけど、前よりスムーズになったように感じる。
私の髪の毛が跳ねてるのを触ってた。
「3本はねてる」
って言うけど、見えてるの? お母さん。
私が、後ろの髪の毛をJさん(私の夫)に切ってもらったと言って、母に見せたら、「あたしが切って直したい」なんて言う。母なりの茶目っ気である。
いつものごとくスマホでフォレスタの歌を聞かせる。そうすると、少ーし表情が出てくるのがわかる。ちょっと笑顔を見せてくれた。
看護師さんが来て、母に「起きてたぁ」と大げさに言って喜んで見せてくれる。
話によると、昼ご飯の時に母は眠くて食べなかったらしく、薬もまだ飲んでいないという。温め直してフロアの方に用意してくれる。
「ご飯食べないと治らないよ」
と私が言ったら、のそのそと食べ始めた。入院してから母は数キロ痩せてしまったから心配だ。できるだけ食べてほしい。
洗濯物
靴下を3足持って行き、3足持って帰る。
※母の入院の経緯
7月 8日 A病院にて股関節手術 その際に骨折
7月26日 Bリハビリ専門病院へ転院 その夜、おむつ交換時に脱臼
7月27日 手術したA病院へ救急車で戻される
8月 1日 足に装具がつく(三ヶ月外せないと言われる)
8月30日 Bリハビリ病院へ転院
10月24日 C施設(老健)へ転院予定