チャンスをぶち壊さないために。【後編】 – 中川典彌 × 佐藤かつあきトークイベント −
▽気になるトークイベントの前編はコチラ
チャンスを運んできてくれるのは
SNSよりも「人」だということを忘れない
●相性のいい「プレゼンター」に出会えると、チャンスが広がる
かつあき 僕は仕事柄、お客さんとかに「熊本でこういうことできる人知りませんか?」って聞かれることが多いんですよ。そういう時には、勝手ながら「この人がいいんじゃないかな」という人をばーっと集めて、スライドにまとめて送ったりするんです。
だから仕事のチャンスっていうことで言うと、僕みたいな「プレゼンター」が、みなさんの知らないところで紹介していることも結構ありますよね。
中川 それ、仕事をしていくときにかなり大切なポイントですよね。つまりアーティストさんやクリエイターさんたちにとって、かつあきさんがSNSの代わりの存在になっているわけじゃないですか。
ほとんどのアーティストやクリエイターは、世の中の人に届けるためにSNSというサービスを使っています。でもこれがうまく機能している人もいれば、そうでない人もいる。
一方でかつあきさんのような、相性のいい「プレゼンター」に出会うことができたら、その方が次のチャンスに繋がる確率はSNSよりはるかに高いと思うんです。そういう「人」がつないでくれるご縁こそ、忘れてはいけないよなと。
かつあき 中川くんが最初に仕事をもらうことができた、飲み会なんかもそういう人たちが集まっている場ですもんね。意外と僕みたいな人って、世の中にめちゃくちゃたくさんいるんですよ。本当にいろんなところに、勝手に紹介して回っている。確かに、それってすごいチャンスですよね。
●まず実力をつけ、作品の見せ方を考える
中川 ただ、そうやって紹介する場合、アーティストさんやクリエイターさんの質が高いのは大前提ではありますね。
かつあき そうそうそう。あと、やっぱり「この人いいですよ」って紹介しようと思った時に、作品の届け方が上手な人が候補に残りやすいというのはありますね。
「僕はこの人の作品好きなんだけど、この人のInstagramでの見せ方はイマイチだな」と思うと、残念ながら他の方に紹介がしにくい。それでチャンスを逃して損をしちゃっている人って、めちゃくちゃいるだろうなと。
中川 ありますね。すごくいいものを作っているのに、最後の届け方があんまりよくないだけっていう方。そういう方は本当に見せ方を考えるだけで変わりますよね。
ひとつひとつのチャンスを無駄にせず
効果を最大化させる
●機会を活かしてコンテンツ化をしていく
中川 今日のこのトークイベントも、雨が降ることはわかっていましたし、「お客さんが全然来てくれない可能性もあるよね」と、かつあきさんともお話していました。でもやっぱり自分たちとしては、もしたった1人でも来てくれるなら、この機会を無駄にしたくはないから、やりましょうと。
ただ、その時にやる、だけではなくて、カメラで映像を残してもらったり、プロのカメラマンさんに写真を撮ってもらったり。よりその効果を最大化させる提案は、ちゃんと自分たちからしていきたいなと。
かつあき そうそう。話すだけでももちろんいんだけど、やっぱり勿体なさすぎますからね。その機会を活かしてコンテンツ化するっていうことは僕もいつも考えています。
●「あいつ面白いことやってるな」と思わせる
かつあき 例えば、メディアに取り上げてもらうためのプレスリリースには、これからこういうことをやります、という告知のためのプレスリリースと、こういうことをやりましたという、報告のためのプレスリリースとの2種類があるんですよ。それを「前パブ」と「後パブ」と呼ぶんですが、この「後パブ」っていうのが意外と重要なんですよね。なぜならそういうイベントって、大多数の人が来ることはできていないわけですから。
その「後パブ」で、どれだけ自分たちがやったことを良く見せるか。そういう発信をちゃんと残すことで、「あいつ面白いことやってるな」って思ってもらえて、次のチャンスにつながるんです。
中川 すごくそれわかります。たとえ1人でも聞いてくれる人がいるだけで、ひとりでYouTube撮影として話していることとは、内容もトーンも違ってきますし。少しでも人が来てくれていたら、その人たちの背中越しに写真を残してもらうだけで、めっちゃ人が来てるように見えたりですね(笑)
そういった、今あるもの、できたことをどれだけうまく活かして次に繋げるかは、やったもん勝ちですよね。
かつあき 嘘をつく、ということではなくて、どう見せるか。リーダーにはそういう力が必要ですよね。
中川 今日も、雨だしそんなに人は多くないですけど、時々人のいない方にも人がいるかのように目線配ってますもん。いないのに(笑)
かつあき いや、そういうのが本当に大事なんですよ(笑)あとでみなさんで、いい感じに写真撮ってもらいましょうね。シェアしたくなる感じのやつね。
与えてもらったチャンスをぶち壊さないために
●チャンスには2種類ある
かつあき 中川くんは、若い子たちに伝えたいことってありますか。
中川 仕事の依頼には、2種類あると思っています。ひとつは、「本当にこの人に頼みたい」と思ってもらっている仕事。もうひとつは、「正直賭けだけど、応援したいから依頼しよう」という仕事です。
若い子の場合、「応援したい」という気持ちから仕事をもらっていることの方が大半です。でも「この人に頼みたい」と思って仕事をもらっていると勘違いしてしまっている子が、本当に多いんですよ。
かつあき 「俺、来てるわ」みたいな感じっていうことですよね。
中川 まさにその通りで。せっかくチャンスを振ってもらっているのに、世に出すときに「俺、やってやりました」みたいな感じで、感謝の気持ちがない。それじゃあ、応援してくれた人も、その周りの人も気持ちよくないだろうし、いい作品づくりもできないだろうと思うんです。
独立からたった4年。無名で実力もない、素人同然だった僕がここまでやってこれたのは、本当にたくさんの方にさまざまなチャンスをいただけたからです。そして「その気持ちに応えたい」「いただいたチャンスを無駄にはしたくない」と積み上げてきたことが重なって、今がある。
だから、いっそ「本当にこの人に頼みたい」という仕事であったとしても、全部「チャンスをいただいてるんだ」と思った方がいいくらいですよね。僕もいまだに毎回「試されてる」と思って、最後の最後まで相手に喜んでいただけるように、今の自分ができる最大のパフォーマンスを尽くしています。
●関わってくれた全ての人への感謝の気持ちを忘れない
かつあき 本当にそうですね。僕もいろいろ仕事を紹介することがありますけど、その仕事がうまくいったのかどうかの報告や、ありがとうのひと言もない時は、きっともう一生仕事頼まないだろうなーなんて思っちゃいますからね。
中川 仕事を紹介したときに、見返りが欲しいわけじゃないんですよね。本当に感謝のひと言で良くて、むしろそれ以外いらないくらいで。
「関わってくださった皆様のおかげです」っていう発信をしていくことで、その直接関わってくださった方だけでなく、その家族や周りの人にまで伝わりますから。
SNSは、関わってくれた方へのラブレターを送るには最高の場所ですよね。感謝の気持ちを伝えることで、自分の評価も上げることができるのに、最後の最後で自分の評価を下げてしまうのは、本当にもったいないなと思います。
かつあき Facebookの制限で、全員タグ付けができないこともあるじゃないですか。そういう時には一旦全員外して、裏でメッセージで「タグ付けできなかったんですけど、本当にありがとうございました」とわざわざ送ったりとかね。
中川 今どきの有名な芸能人やクリエイターは、言葉も添えずにシェアしてるから真似しよう、ってやる人もいるんでしょうけど、それは違いますよね。そういう人たちも、裏の見えないところでちゃんと関係者の人たちに感謝を伝えてる。
そういった表面ばかり真似して、本質の部分をないがしろにしてしまうと「ちょっと生意気そう」とか思われてしまうこともあります。みんな、会えば本当にいい子たちばかりなのに、そんなの勿体なさすぎるじゃないですか。
●「目の前の人に集中する」
かつあき 本当に「目の前の人に集中する」ということが、すごく大事なんですよ。以前NHKでスタジオジブリの特集を見た時に、宮崎駿さんが「机の半径3メートルで起きていることが全てだ」っていう話をされていましたが、まさにそうだよなと。
別に最初から世界を見なくてもね。自分を中心とした半径3メートルの世界で起きていることが、社会や世界につながっているものですから。それをまず大事にした方がいいと。
アーティストさんも、クリエイターさんも。目の前にたった1人でもお客様がいるなら、その人に向けてまずしっかり届けることですよね。
中川 いやあもうまさにそれです。かつあきさん、今日は本当にありがとうございました。
かつあき こちらこそ、ありがとうございました。
今回ゲストとしてご出演いただいた中川典彌さんは、2023年3月末に公開されたSONYの「α」シリーズのブランディングムービーにも単独出演。熊本の枠を超え、もはや日本が注目する映像作家さんとなりました。
また、2023年4月5日からはKKT(熊本県民テレビ) の「てれビタ」で、毎週水曜日にご自身が運営するラジオルームにて収録した「SPOTLIGHT(スポットライト)」というコーナーを担当されることに。
チャンスをぶち壊さず、次々と活躍の幅を広げていく中川さんのこれからには本当に目が離せません。Hub.craftはこれからも全力で応援していきたいと思います。
中川さん、かつあきさん、素晴らしいお話をありがとうございました!
【登壇者プロフィール】
●中川典彌 Nakagawa Fumiya / 映像作家
●佐藤かつあき Sato Katsuaki / クリエイティブディレクター
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