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プライドの高いマメルリハが恥も外聞もかなぐり捨てる時

11月1日朝のこと。
我が家のマメルリハ・シャルは母に朝の水と餌替えをしてもらっていた。

鳥籠にいるシャルからは、自分の鳥用アスレチックがむちゃくちゃになっているのが見えている。水と餌替えの前に母がシャルが散らかした餌や汚れたキッチンペーパーを捨てて、鳥用アスレチックを綺麗にしていたところだったからだ。その作業をしている途中にシャルが「起きる!」と言い出したようだたった。

シャルも鳥用アスレチックをそうじ中なのがわかっているらしく、アスレチック内のはしごなどが無造作に積み上げられていても文句を言わない。

この少し後に「おや?」となった。
母がシャルの水と餌替えが終わっても鳥用アスレチックを元に戻さず、座ってテレビを見始めた。普段のシャルなら「早くアスレチックを元に戻してよ💢!」と鳴いて文句を言うはず。でも騒がない。

しかも母の方に向かってシャルがおめめからキラキラ光線✨を照射し続けている。プライドの高いシャルは、年を重ねるにつれて媚びるような目線を人間にすることは減っていき、最近では非常に珍しい。

私の記憶では昨年鳥嫌いの同居人(私)と留守番6日目に入院中の母に電話をしてほしがった時と先日散歩に連れて行くようせがまれた時くらいである。

そんなシャルの様子をさすがに不審に思った私と母は、シャル本体とその周辺を観察し始めた。でも理由は鳥用アスレチックではないらしい。すると・・

シャルの餌入れがなんと鳥籠のすぐ外に!

母が朝の水と餌替えをした時になぜか餌入れを鳥籠にセットし忘れていたようだ。しかも置いてあった場所がちょうど本来鳥籠にセットされるべき場所のすぐ外だった。

シャルが「起きる!」と言い出した時は既にお腹が空いていて、起きて食事をしたい時である。つまりシャルは空腹状態になってから、自分で取れないけどすぐそばにある餌入れと中の餌を見ていることしかできない状態に陥っていたのだ。

これに気付いた人間たちは大笑いしつつ、もちろん母はごめんねと言いながら餌入れを鳥籠にセットしてやった。シャルにとってはまったく笑い事ではないが、よほどお腹が空いていたのか、すぐ餌入れの所に移動してがっついて食べ始めたのだった。

文句があれば鳴いて知らせるし、切羽詰まっているなら聞き届けてもらえるまでギャーギャー鳴くのに、この日はなぜ言わなかったのだろう・・・朝は基本的にかまってもらえないし、よほどのことでないと要求が通らないと知っているからなのか。

空腹の限界に達し、普段と違う感じに目をキラキラさせて母を見つめて気を引こうとしたならすごい。ちょっとかわいそうだったけど、プライドも捨ててしまうほどの空腹だったのだから。

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稲生瀬鴉(いのうせあ)
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