生きていたら、50歳になる母へ。
今日はお母さんの誕生日だね。
亡くなってからもう3年か。あっという間だね。
本当にいろいろあったし、正直お母さんのこと最期までよく思っていなかったし、かけてきた電話にもほとんど出ず、会いに行くのもしぶしぶだったからさ、チラッと思い出しても、特に何も思うところはなかったんだけどね。
なんだか今年は、向き合えるかもってようやく思えたから、書いてみるよ。
まずは、思いつく限りの文句を言わせて。
新しく仕事を始めると、必ず男の人作って帰ってこなくなるのが本当に嫌だった。
夜、託児所に預けられる毎日が、本当に本当に、胸がちぎれるほど苦しかった。
朝はいつも私が学校に行く時間には起きてくれなくて、朝ごはんは自分で用意してたし、帰ってきてからも、風邪薬大量に飲んで朦朧として呂律が回らないお母さんを見るのが大嫌いだった。
学校の先生に、仕事の営業をかけてるのもすごく恥ずかしかった。
学校の目の前にあるボロアパートに住んでたから、みんなに知られてるのも恥ずかしかったし、校庭から丸見えになるから夏に玄関開けっぱなしにするのやめてって言ってもやめてくれないのもすごく嫌だった。
怪しい人たちと関わり合って、変なことに巻き込まれて警察沙汰になってるのも恥ずかしかった。
そのことで学校で後ろ指さされたりしているのも必死に耐えて、平然と学校に行く毎日もすごく苦しかった。
楽しい遠足でも、毎回お弁当のフタがなかなか開かなくて、先生に開けてもらうのもすごく嫌だった。
たまに腐ってたりするし、ご飯と焼きそばだけとか、すごく恥ずかしいメニューのときもあったから、みんなとご飯食べるのが楽しくなかった。
お父さんが浮気してること、生々しい話まで聞かされるのも本当は嫌だった。
なんだかんだで、いつもお父さんが最優先なのも嫌だった。
そのくせ、何かあったわけでもないのに突然学校に迎えにきたり、いつも振り回されて、心が落ち着かなくて、本当に苦しかった。
でも。
きっと、同居していた父方のおばあちゃんとソリが合わなかったことや、まだ16歳にして親元を遠く離れて、縁もゆかりもない地で私を産んで、心を崩しちゃった面もあるんだと思う。
気づかなくてごめんね。
輪をかけるようにおばあちゃんと仲良くして、お母さんをのけ者にするみたいになってしまってごめんね。
子供だからと被害者ぶって、お母さんの気持ちに気づいてあげられなくてごめん。
小学校高学年になる頃には、正直もうすでにちょっとお母さんを下に見ていたと思う。
頼るのはお金がかかるときと、お迎えが必要なときだけだったね。
変に大人になろうと必死で、私もすごく苦しかったんだ。
本当にごめん。
大人になって、もう一度親子をやり直そうと思ったこともあったけど。
無理なダイエットや薬の過剰摂取などのせいで内蔵はボロボロで、大量の薬が手放せないことや、その副作用のせいか覇気がなく呂律の回らない姿があの頃を思い出させてゾッとしてしまった。
だから無理だった。すぐに心が折れてしまって本当にごめんね。
たまに出る電話口で、「ちゃんとしたお母さんじゃなくてごめんね」っていつも言わせてしまって、こっちこそごめんね。
今まではこういう責める気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも今ようやく、ありがとうが言えそうな気がするから、それもちゃんと伝えてみる。
まず、産んでくれてありがとう。
この歳になって、ようやく心からこの言葉が言えるようになったよ。
今まで、学校の行事とかで雰囲気で手紙に書いたことはあったけど、それ以外はずっとずーっとなんで私を産んだの?としか思えてこなかったからさ。
私もちょっとうれしい。
あとは、いつも私が好きなお菓子を用意していてくれてありがとう。
周りの保護者よりも遥かに若かったから、行事に参加するのもきっと大変だったと思うけど、来てくれてありがとう。
たまに部活の応援も来てくれてたね。
テストでいい点取ったとき、一緒によろこんでくれたのもうれしかった。
あまり味は覚えてないんだけど、ご飯とかお弁当も、作ってくれてありがとう。
自分で料理をするようになって、まず作ること自体が大変だってことが身に染みたよ。
一緒にふざけて笑いあったりしたことも楽しかった。
体調を崩したとき、いつも看病してくれてありがとう。
なぜかいつも、好きなお菓子と「ドラえもん」のビデオを借りてきてくれたよね。
だからか、体調崩すといまだにドラえもんが観たくなるんだ。
責めたい出来事よりはやっぱり少ないかもしれないけど、感謝するところも思っていたよりもあったなって、思えるようになってきたよ。
遅くなってごめんね。
お母さんは、いまどうしてる?
地獄?天国?
それとも、もう新しい人生が始まってるかな?
人間?それ以外?
亡くなってすぐに人間に生まれ変わっていたとしたら、もう3歳になる頃だね。
3歳の子を見かけたら、もしかしたらその子がお母さんかも。
不思議だね。
もし前世の記憶が残ってて、出会ったときに私に気がついたら、内緒で教えてね。
なんにせよ、次の人生は楽しく明るく、自分の人生をめいいっぱい生きてください。
ありがとう。
この記事が参加している募集
最後までお読みいただき、ありがとうございます。よろしければ、サポートもしていただけたらとっても励みになります😊活動の幅を広げていきたいです。