不器用な嫁が、ふと思い立って旦那さんにプリンを作ってみた。
「〇〇 簡単レシピ」と検索すると、たくさんレシピがすぐに出てきて、「これもおうちで作れるの!?」「え!これも!?」とテンションがあがる。
不器用な私でも、気軽に手作り市場に参入できるのがうれしい。
今まで入れなかった輪に、優しく手を引いて入れてもらっているような気分で心地が良い。ありがたい。
だからここ数年、今までおうちで作ろうなんて1ミリも思わなかったものも、思い立ったらレシピを検索してメモしておいて、ちょこちょこと挑戦している。
今回はプリンを作ってみた。
卵と砂糖と豆乳だけの簡単プリン。
全ておうちにある材料で作れるというのも、気負いせず挑戦しやすいポイントで助かる。
これだけで本当にプリンになるの?と半信半疑で手を進める。
といっても工程も少ない。
材料を混ぜて、器に入れて、蒸すだけ。
とは言え、何しろ初めての「蒸す」作業に手こずって、けっこう時間がかかってしまった。
レシピ通りの時間で蒸してもなかなか固まらなくて、もうこのまま一生固まらないんじゃないかと心が折れかけた。
折れる前に、少しヒビが入る程度でなんとかかんとか完成。
見た目は上々!
このためにかわいいココットも買っておいた。
憧れの青の器にも、気持ちが昂る。
ただ、味はちょっと自信なかった。
どのレシピでも絶対やってください!と書いてあった「濾す」を華麗にスルーしてしまったから。
もしかしたら、もっさもさの歯触り残念な仕上がりになっているのでは……と、ドキドキしながら旦那さんに食べてもらうと、
まさかの最上級の褒め言葉「うまい!お店みたい!」というはじけるような声が聞こえてきた。
私は、「え!ほんと?そんなはずないでしょ!」と、一口食べると本当においしい!
固めだけど、思っていた数倍なめらかで、ほどよい甘さにカラメルの苦味もちょうどよくて本当においしくてびっくりした。
実はカラメル作りにも手こずって、お気に入りでよく使う器をパリンと割ってしまったのが今回の1番の失敗談。
重たい首をもたげながら、なんとか力を振り絞って2度目のカラメルにとりかかる。
クレームブリュレのようにパリパリにしたくって、プリンにかけた直後はいい感じに固まっていたのが、冷蔵庫に入れておいたらいつのまにかサラサラになっちゃってがっかり。
溶けちゃうのですね。だから直前に炙るのですね。知らなかったのです。
どうしてもパリパリが欲しかったので、3度目のカラメルに挑戦。
クッキングペーパーに広げて、今度は食べる直前に砕いたものをかけることにする。
学んだことを次に活かせば失敗も失敗じゃないと、自分に言い聞かせながら。
パリパリっていうよりもガリガリになってしまったのはもうご愛嬌で。
はじめてのプリン。
どうしたって不器用だから、ドタバタは不可避で、それでもなんとか完成したときの喜びはけっこう好きで、だからこりずにまたチャレンジしてしまう。
手作りで何かを作ることを通して、少し心も強くなった気がする。
何より今回、卵の無限大の可能性に改めて静かに興奮した。
ご飯にぴったりなおかずにも、甘いお菓子にもなれるし、そのままの素のポテンシャルも高すぎるなんてもはや卵様と呼ぶのがふさわしいような気もしてくる。
さて、何はともあれプリン食べよう。